不満を語ったマーカス・スマートに「生産的ではなかった」
セルティックスは揺れていた。11月1日のブルズ戦に敗れて2勝5敗とスタートダッシュに失敗。ニックスとウィザーズにはオーバータイムにもつれた試合を落とし、ブルズには14点リードで迎えた第4クォーターに逆転される不甲斐ない敗戦を喫した。
この試合の後、マーカス・スマートはメディアに対してチーム批判をした。若き2人のエース、ジェイレン・ブラウンとジェイソン・テイタムがパスを回さず、チームプレーを阻害しているとの内容だ。「自分のためだけじゃなく、チームの他の選手のためにもプレーしなければいけない」とスマートは言う。
また彼は「コーナーに追いやられているように感じる」と言い、ポイントガードである自分がプレーの主導権を得られず、意思疎通のないまま個々が攻めることで、特に接戦の勝負どころでオフェンスが停滞するとの危機感を持っている。
勝てない状況を何とかしなければ、との思いからの発言だろうが、同じく責任感とプライドの強いジェイレン・ブラウンはこれに反発した。選手だけでのミーティングが行われ、そこでは感情的な言葉も飛び交ったそうだ。チームの危機に対して選手が集まってコミュニケーションを取る。ポジティブな出来事のように思えるが、この一連の出来事をブラウンは「生産的ではなかった」と言う。
「みんな勝つための方法を探しているんだ。会見場じゃなくロッカールームで、僕本人やコーチングスタッフに言えばいい。僕はいつでも話を聞くし、コーチからの指示は何であれ受け入れる。あれが勝つために必要なことだったとは思わない」
これは、それぞれの責任感がぶつかり合った結果だ。ケンバ・ウォーカーの退団により、スマートは自分がメインのポイントガードとしてチームを引っ張らなければならないと考えた。ブラウンは新たな『チームの顔』として、今まで以上に勝敗に責任を持とうとしている。だからそれぞれのやり方にこだわるし、もう一人のポイントガードであるデニス・シュルーダーがまだチームに加わったばかり、また長くチームを率いたブラッド・スティーブンスからイメイ・ユドカにヘッドコーチが代わったこともある。チームはまだ立ち上がったばかりなのだ。
新たなチームバスケットを固めていく過程では、こうした衝突が起こるのは当たり前のこと。それでもチームが負けていたら、フラストレーションはより大きなものとなる。現場の責任者であるユドカは、それを理解しているからこそ静観している。「マーカスが言った内容は、チームで毎日議論されていることだ。マーカス、ジェイレンとジェイソンはこのチームで長く一緒にプレーして、頭を突き合わせての議論をずっとやってきた。今回のことを大袈裟に受け止めるつもりはない」
11月3日にはマジックに92-79で勝ち、連敗を3でストップさせた。指揮官ユドカは言う。「悔しい負けがいくつかあったが、大局的に見ればチームはここ数試合で成長している。正しい方向に進んでいる限り、この時期の勝敗はあまり意味がない。もちろん2勝5敗は受け入れられるものではないが、まだ我々のチームは完成していないんだ」
チームは試合ごとに成長している。あとは勝てばチーム内にフラストレーションが溜まることもなさそうだ。それでも、ここからの日程はなかなか厳しい。これから当たるヒート、マーベリックス、ラプターズは絶好調で、続いて王者バックス、さらに今シーズンのサプライズチームとなっているキャバリアーズとの連戦があり、ホークス、レイカーズと続く。この2週間で負け越し、さらに順位を落とすことになれば、また不協和音が外に漏れてきそうだ。逆にここで結果を出せれば、新たなチームは自信を得られる。新生セルティックスにとっては、ここがシーズン最初の正念場だ。