タイラー・ヒーロー

バトラーは『ラウリー効果』を称賛「調整役としてカイルは天才的だ」

ルカ・ドンチッチはNBAのトップスター選手だが、一人では戦えない。相手が『ビッグ4』を擁するヒートでは勝機を見いだすことはできなかった。ドンチッチは33得点を挙げ、ジェイレン・ブランソンが25得点で続いたが、ヒートはカイル・ラウリー、ジミー・バトラー、バム・アデバヨにシックスマンのタイラー・ヒーローと4人が20点超え。第1クォーターはバトラーが12得点、続いてヒーローの15得点にアデバヨの10得点とクォーターごとに誰かが2桁得点を挙げ、マーベリックスは後半になるとついていけなくなった。

マブスはクリスタプス・ポルジンギスとマキシ・クレーバーを欠いていたが、フルメンバーでも今日のヒートに対抗するのは難しかったはずだ。ヘッドコーチのジェイソン・キッドは「今のヒートはリーグ最強のチームだと思う。ヒーローが第2クォーターに調子を上げ、トランジションでやられてしまった」と完敗を認めた。

個々の得点力を上手く引き出せているのは、新たな司令塔となったカイル・ラウリーのゲームコントロール、そしてヒーローのポイントガードとしての成長が大きい。

バトラーは『ラウリー効果』をこう説明する。「得点できる選手がたくさんいる中でボールとチャンスをシェアする、その調整役としてカイルは天才的だ。彼はターンオーバーを恐れず、みんなが望むところにパスを出す。調子の良い選手にパスを出すし、しばらくボールが来ないと思うとパスが出てくる」

「それに、僕らは誰がたくさん点を取るかは気にしていない。大事なのはチームが勝つこと。無得点の選手も2点の選手も、もちろん25得点した選手も、自分たちがちゃんと仕事をして勝てばみんなハッピーだ。それが上手くやる秘訣なのさ」

ヒーローは昨シーズンからピック&ロールの判断力、その中で自分のシュート力を生かす術に磨きを掛けており、その成果が数字に表れている。平均22.0得点、6.5リバウンド、4.5アシスト。この調子ならベストシックスマン賞は間違いないが「まだシーズンが始まったばかりだから何かを判断するには早すぎるよ」とヒーローは冷静だ。

「開幕前からこうなると期待していたよ。トレーニングキャンプから僕たちはチームとしてよくまとまっていたからね。でも、まだ改善すべき点は多いし、こうありたいと願うチームにはまだまだ遠い。毎日ミスから学んで成長していく必要がある」

これでヒートは5連勝で、6勝1敗はブルズとジャズと並んでリーグトップの成績だ。ただ、ここからはセルティックス、ジャズ、ナゲッツ、レイカーズ、クリッパーズにジャズと強豪相手の連戦が続く。それでもヒートはシーズン最初の正念場に、これ以上ない状態で臨むことになる。