キャバリアーズ

マルカネン、モーブリー、アレンの同時起用「このディフェンスは隙がない」

ホークス、ナゲッツ、クリッパーズと昨シーズンのプレーオフチームに勝ち、11月1日にはホーネッツ相手に競り勝った。ケビン・ラブが健康安全プロトコルでチームを外れる状況で、第4クォーターに17点のリードを2点まで縮められた。今までのキャバリアーズであれば浮足立ち、逆転負けを喫していただろう。だが今シーズンのキャバリアーズは、一味違う。

これで4勝4敗。スタートダッシュに成功した他のチームに比べれば目立たないかもしれないが、レブロン・ジェームズが去った後の3シーズンで60勝159敗と負け続けたチームにとって、勝率5割をキープすることには大きな意味がある。しかもキャブズはこれでアウェー5連戦を3勝2敗と勝ち越した。

バスケは常に進化しており、時代に合わせて形を変える。ウォリアーズが『王朝』となったのは、ペースアップと3ポイントシュートという新しいスタイルでリーグに革新をもたらしたからだ。そして今、キャバリアーズはサイズアップでリーグに新しい風を起こしている。ベテランのケビン・ラブに、昨シーズン途中に加入したジャレット・アレンがいるフロントコートに、ドラフトでエバン・モーブリーを、トレードでラウリ・マルカネンが加わった。ヘッドコーチのJ.B.ビッカースタッフは、この駒を生かすためにマルカネンをスモールフォワードとして、アレンとモーブリーと並べて先発に据えている。

アレンは「正直に言うと、最初はこれでいいのかどうかと疑問に思った。でも実際に今は機能しているし、試合をこなすごとに自信は高まっている」と話す。

ビッカースタッフは、「気付けばウチの強みは、7フッターが揃っていることだった」という表現で、このビッグラインナップが狙って作ったものではないことを明かしている。アレンのトレードは突然に決まったものだし、ラリー・ナンスJr.とマルカネンのトレードも悩みに悩んだ末の選択だった。モーブリーは、彼らが持つ順位で指名できる最高の選手だから指名した。つまり、サイズの利を生かすための編成をしたわけではなく、ロスターの強みを最大限に生かすスタイルを考え、このビッグラインナップにたどり着いたのだ。

このビッグラインナップはプレシーズンゲームでテストされ、そこから本格的に取り組まれることになった。まだ挑戦は始まったばかりだが、それで4勝4敗は上出来だ。指揮官ビッカースタッフは「トレンドに逆らっている自覚はあるが、自分たちのチームにとって何がベストかを考えた結果だ。他のチームとは違うかもしれないが、それは競争力を高めるきっかけになる」

それと同時に、ただサイズの大きい選手を並べているわけではないことを強調する。「単純に大きな選手を並べただけではプレーは噛み合わない。第一、スピードのあるガードを守ることができない。大事なのはサイズではなく、ディフェンスで戦う意識だ」

『レブロン後』のキャブズはコリン・セクストンとダリアス・ガーランドの2枚看板。NBAの次世代を担うガードコンビを擁してはいるが、守れないチームは勝てない。彼らをディフェンスのユニットで支える必要があった。そして今シーズン、ようやくその形がモノになろうとしている。

モーブリーは「基本的に、僕らはフロアのすべてのエリアをカバーできる。僕たち全員がガードとマッチアップしても守れて、スイッチを苦にしない。このディフェンスはかなり隙がないと言っていいと思う」と自信満々だ。実際、彼らはオーバーヘルプと思えるほど自由に動き、それでいてカバーの動きは統一されている。試合中にマッチアップを頻繁に変えるし、マンツーマンとゾーンを織り交ぜる。

マルカネンとモーブリー、アレンの同時起用について、ビッカースタッフはこう語る。「このユニークな組み合わせを成長させたい。素質があることは疑いようがない。この3人を長く一緒にプレーさせれば、素晴らしい活躍ができるチャンスがある。しかし、彼ら3人はこれまで一緒にプレーしたことがなかった。10試合、20試合後に彼らがお互いの長所と短所を理解したらどうなるか想像してほしい。対戦相手は研究してくるだろうが、進化のスピードはそれを上回るはずだ」

彼らはサイズとウイングスパンだけでなく運動能力とバスケIQにも優れており、リバウンドからトランジションに持ち込むことができ、オフェンス面ではそれぞれ異なる武器を持つ。ただ、あくまでベースはディフェンスだ。ビッカースタッフの下でこのビッグラインナップがどう成長していくのか。それはキャブズの成長にも直結する。主力に入れ替えのあった新チームで、開幕8試合のうちアウェーゲームを5つ戦うスケジュールの不利があったにもかかわらず4勝4敗。今シーズンのキャバリアーズは、一味違う。