リッキー・ルビオ

ミス連発で試合をぶち壊した前夜から一転、ホークス撃破の立役者に

10月22日、キャバリアーズは3試合目にして今シーズンの初勝利を挙げた。再建の3シーズンで若く有望な選手は集まったものの勝ち星は増えず、今シーズンも開幕時点で躍進を予想する声はほとんど出ていない。開幕から連敗を喫した相手はグリズリーズとホーネッツ。ジャ・モラント、ラメロ・ボールと若きリーダーを擁して前途洋々のチームと、冴えないキャブズには大きな差が感じられた。

しかし、3戦目で勝利した相手はグリズリーズやホーネッツよりもさらに先を行く、昨シーズンのプレーオフで躍進したホークスだ。後半開始直後に逆転すると、追い上げられるプレッシャーを常に浴びながらも崩れることなく、接戦とはいえ大半の時間帯で2ポゼッション差のリードを守る辛抱強さを見せた。

ジャレット・アレンとエバン・モーブリーが揃ってダブル・ダブルの活躍でチームを支えたが、勝利の立役者を挙げるならベテランの司令塔、リッキー・ルビオだ。足首の捻挫で欠場しているダリウス・ガーランドに代わり先発起用された彼は、35分のプレータイムで23得点8アシストを記録した。ホークスのエース、トレイ・ヤングが同じ35分で24得点7アシストとほぼ同じ数字を残しているが、フィールドゴール22本中8本成功のヤングに対し、15本中9本成功とルビオが効率で上回る。なおかつ激しいプレッシャーディフェンスにもボールを失うことなく攻撃を組み立てる円熟の技も光った。

そのルビオだが、ホーネッツ戦の第4クォーターではわずか3分半で4つのターンオーバーを連発して、接戦だった試合をブチ壊している。試合後の会見では「僕の責任だ。ミスがあっても次のプレーで焦ってはならないことをベテランの僕が示さなければいけないのに、ミスを取り戻そうと無理をした」と語っている。

そのルビオに対してコリン・セクストンは「彼だって僕だってターンオーバーはする。誰がターンオーバーしてもチームで助け合わなきゃいけない。彼は自分に厳しいけど、僕はリッキーの責任だとは思わないよ。僕たち全員の問題だから、明日はきっと良くしてみせる」と語った。

その翌日の試合で、ルビオもチームも一夜にして成長した姿を見せた。この試合の終盤、ルビオは迷うことなく2本のシュートを成功させている。「昨日の第4クォーターのことは頭にあった。それで消極的になるのが一番ダメということは分かっていた。だからこそ、自分で打つことがベストの選択肢だと判断したら積極的に打とうと思っていた。良いスクリーンを掛けてもらって、ピック&ロールが上手くできていたことで自信を持つこともできた。あとは自分らしくプレーするだけだった」

すべての試合で良いプレーができ、勝てるわけではない。敗戦から学びを得て、次の試合に生かす。その姿を若い選手に示すことがキャブズにおけるルビオの役割でもある。

「その責任はすごく大きなものだと感じている」とルビオは言う。「どの選手もこのリーグで成功するには多くのことを学ばなきゃいけない。才能ある選手はたくさんいるし、1年活躍するだけなら簡単だ。でも、ずっと結果を残すとなると話は別だ。そのためには周囲の助けがいる。大事なのは失敗からどう何を学ぶか。若い選手だけじゃなく僕だって失敗はする。そこでどんな対応をするのかを見せたい」

この会見でルビオと同席したケビン・ラブは、「彼が31歳になったとは信じられないね」と、かつての『天才少年』について語るとともに、ルビオのプロフェッショナル精神がいかにチームにとってプラスなのかを語った。極端に若いチームを引っ張っていく責任をルビオとシェアすることで、ラブの負担も軽減されるだろう。ルビオが加わったことで、キャブズはようやく良い方向に進み始めたのかもしれない。