「言い訳せずに勝ちに行くことが達成できた」
9月9日、琉球ゴールデンキングスはアーリーカップ関西大会の決勝で大阪エヴェッサに79-62で快勝。アイラ・ブラウン、ジェフ・エアーズとビッグマン不在でも危なげない展開だった。
「正直、準備してきたものは違う状況が多く、内容の評価が難しい部分はあります。ただ、どういう状況だろうと言い訳せずに勝ちに行くことが達成できたので、それはすごく良かったと思います」
こう大会を総括する岸本隆一は、今シーズンのチームの強みを実感することができたと続ける。「昨シーズンは苦しい状況になった時にいろいろな選択肢がなかった、とは言わないですが、やっぱり自分がアタックした方が良いかなという考え方でした。今年は切り崩していける選手、ゲームを落ち着かせてくれる選手、インサイドで起点になる選手もいます。だから今日も状況が良くない時も、どのカードを使おうか、と表現として正しいのか分からないですけど、ワクワクするみたいな感覚はありました」
今オフの琉球を語る際、真っ先に触れなければいけないのは岸本という不動の先発ポイントガードがいる中で、並里成と橋本竜馬、同じポジションに2人の即戦力を獲得したこと。3人がどのように共存するかは大きな関心を集めている。今回のアーリーカップでは2人が同時出場するツーガードの時間帯が大半だったが、岸本は共存により自信を深めている。
「僕自身は手応えがあります。それぞれ違うタイミングで自分の持ち味を出していければ、チームにとって良い循環になっていく感覚を持てたゲームだったので、充実した気持ちでいます」
「優勝していることをリアルに想像できる」
同じ沖縄出身で年も1つ違い、久しぶりにチームメートとなった並里については「僕が言うのもおかしいですけど、彼は彼で成長していると思います。良い部分にはより磨きがかかっています。その中で、自分も負けないようにと、ゲーム中は純粋な思いです」と言う。
再び一緒にプレーすることで、あらためて頼もしさを感じている。「やっぱり味方で本当に良かったなと思います。ふと対戦相手で一番マッチアップしたくないのは誰かなと考えて浮かぶのは成なんで。そういう意味では、一緒にやっていて助かるし、ありがたいです。もっと彼の良いところを、僕の力で引き出していきたいと強く思います」
もう一つ、琉球の変化の特長は、若手が去って経験豊富な選手たちが加入したこと。この結果、岸本は4シーズン連続でキャプテンを務める一方で、年齢的には下から数えて4番目となった。
これには「いきなり年齢的には下っ端になっちゃいました(笑)」と驚きつつも、ポシティブな変化と受け止めている。「お手本となる選手も入ってきて、皆が同じ方向を向いてプレーしているのでありがたいです。年齢が下という意味では危機感も謙虚さも、また自分の中で持って取り組めます」
岸本にとってのアーリーカップは、課題はありつつも大きな手応えを得た大会となった。だからこそ「まだ2試合戦っただけですけど、最近はシーズンの最後に優勝していることをリアルに想像できる自分がいます」と言う力強いコメントが出てくる。この思いをより強くしていくことができれば、琉球はもっと楽しみなチームとなってくる。