勝者を称賛「相手ながら見習う部分もすごく多い」
アーリーカップ関東大会、栃木ブレックスは決勝でアルバルク東京に逆転負けを喫し、優勝を逃した。終盤までリードチェンジを繰り返す激戦だっただけに、先発ポイントガードとしてチームを引っ張った渡邉裕規は「本当に悔しい敗戦でした」と悔しさをにじませた。
それでも、代表選手が不在とはいえ、昨シーズン王者でチームの完成度が高いA東京を相手に、互角の攻防を繰り広げたことは、栃木にとってポジティブな結果だとも言える。「勝ちたかったですけど、レギュラーシーズンやチャンピオンシップに向けて、今の段階では悪くない状態で来てるのかなと思います。チームも動き出しの時期で、まだ実戦に慣れていない部分もある上で、この2試合というのは目立ったミスもなかった」と渡邉もチームの手応えを口にした。
昨シーズン、栃木はA東京と6度対戦し、そのすべてに敗れている。昨日の試合は苦手意識を払拭する良い機会だったが、わずかなところでA東京超えは果たせなかった。渡邉は相手を素直に称賛するとともに、あらためてA東京の強さを痛感したと語る。
「強いチームというのはああいう局面でしっかりノーマークを作って、最後は逆転まで行けるわけですから。あの短い時間で、そこは本当にさすがだなと、相手としても頭が下がる部分があります。球際の強さだったり、ディフェンスの強さというのが一枚上手だったと思います」
「シーズンで勝ち、チャンピオンシップを取るために」
ラスト34秒での逆転劇だったことを考えれば、栃木に勝機もあった。「僕たちのオフェンスはちょっとバタついてしまった」と終盤のパフォーマンスレベルに違いがあったことを認めた渡邉だが、「相手ながら見習う部分もすごく多いので、それは本当に自分たちの成長に繋がった。僕だけじゃなくチーム全体でそこを克服するために、勝ち切るためにやっていきたい」と、良き手本として糧にする姿勢を見せた。
それは土壇場の場面でアンスポーツマンライクファウルをコールされたシーンにも言えること。本人としては納得のいかない判定だっただろうが、「吹かれてしまえば仕方ない」と語るに留めた。「なんやかんや言ってもこれからのシーズンには繋がりません。今日の負けは今日の負けとして受け止めて、僕たちがシーズンで勝ち、チャンピオンシップを取るために切り替えます」
どのクラブもチームケミストリーが完成していなかったり、主力選手が不在だったりと、あくまで開幕4週間前に行うプレ大会ではあったが、関東大会ではチケットが完売し、それぞれのブースターの熱い声援がアリーナに渦を巻く、まるでチャンピオンシップのような盛り上がりを見せた。準備時間のこの時期ではあっても、プレーする選手にとっては大きな刺激となった。
「ブレックスのファンも、栃木のファンじゃない方もいると思いますけど、本当に会場が一体となって、良い雰囲気を作ってくれました」と渡邉はファンへの感謝を語った。
そして渡邊はファンへの言葉を残し、大会を締めた。「本当は勝ってファンの方にお会いしたかったですけど、まだ長いシーズンあるので。それに向けて僕たちは準備して、また一緒に王座奪還して、パレードなんかして、一緒に盛り上がれたらいいなと思ってます」