キャメロン・ペイン&クリス・ポール

派手な補強はなくてもシャメットにマギーと新たなアクセントを加える

プレーオフにも進めなかったチームが、一気にチャンピオンリングを手にするというシンデレラストーリーまであと一歩まで迫ったサンズでしたが、オフの動きは大人しいものでした。ディアンドレ・エイトンとの契約延長がまとまらなかったことを除けば、堅実な補強に成功し、層が厚くなったロスターで新シーズンに挑みます。

長らくドアマットチームに甘んじたサンズが『勝てるチーム』に成長した背景には、デビン・ブッカーが長く着実に成長し続けたことに加えて、ジェームス・ジョーンズGMのロスター構築と、指揮官モンティ・ウィリアムスの采配があります。ドラフトではポテンシャルの高いワン&ダンよりも判断力に優れた上級生を好み、補強は実力のあるベテランタイプを優先してきました。冷静にプレーできる選手を集めたことで、抜け目のないプレーと落ち着いた試合運びがチームとして目立っています。

オフの補強はエイトンの控えとしてジャベール・マギーを、ブッカーの控えにランディ・シャメットを加え、それぞれ替えの効かなかったポジションを厚くしました。特にブッカーはプレーオフでのプレータイムが平均40分を超えており、シャメットの獲得は大きな意味がありそうです。プレシーズンでもサンズでは珍しくスピードで相手を振り回すことができており、得意の3ポイントシュートによる得点で貢献しています。

この変化は違う意味もあり、クリス・ポールとブッカーによるミドルレンジを大きな武器とし、そこからゴール下のエイトンやコーナーからの3ポイントシュートに繋げていたオフェンスに『動き回るシューター』という新たなアクセントを加えました。2年目のパワーフォワードであるジェイレン・スミスにもプレータイムを与えており、派手な補強はしていないものの、しっかりと新しい要素を加えています。

サンズ

サンズが『勝てるチーム』と認識されたからには、これまで以上に分析されることにもなります。昨シーズン、サンズほどミドルシュートを活用してディフェンスを攻略していくチームはなかったため、対策が進んでいなかったことは優位に働いていました。それでも新シーズンは『対策を上回る準備』がされた状態で開幕を迎えます。

チーム作りの芯がブレていないだけに、新シーズンも好成績が期待できます。しかし、ファイナルまで進んだチームは『好成績』では満足できなくなるもの。昨シーズン不調だったチームが元気に戻ってくる中でも、変わらぬ強さを発揮できる保証はありません。チームとしての真価が問われるシーズンとなりますが、準備は万端です。