チームを引っ張る2人の存在が栃木の『保証』に
昨日行われたアーリーカップ関東大会の決勝、栃木ブレックスはアルバルク東京と激戦を繰り広げたが、ラスト34秒の場面で逆転を許し、70-72で敗れた。満員のブレックスアリーナでタイトル獲得の機会を逃したが、アーリーカップはあくまでシーズンの前触れの大会。4週間後のリーグ開幕を控え、チーム作りの進捗を確かめる意味では大きな意義があったと言える。準決勝では千葉ジェッツ、決勝ではA東京と、昨シーズンのファイナリストとの連戦。A東京は代表選手を欠きながらも、昨シーズンのリーグ王者らしい完成度のバスケットを展開した。それに最後まで食らい付いたことで栃木としては自信も得られたし、課題も見えた。
キャプテンの田臥勇太は「手応えしかないと言うか、良い意味で課題が出た2試合でした。個人としてもチームとしても、先に繋がる試合になった」と満足気な表情を見せる。
現時点で持てる力を出しきり、なおかつ強いA東京を相手にすることで課題も見えた。「やっぱり強いです。ディフェンスのコミュニケーションだったり、抑え切ったところでのリバウンド。オフェンスもボールが動いて人が動いての準備がしっかりできて、良いオフェンスに繋がることが多い。そういう細かい部分をA東京さんみたいな強いチームは徹底しています」と相手を称えるとともに、栃木の戦いぶりにも一定の満足は得られた様子。
田臥はまだ準備段階とあってプレータイムは短かったが、ゴール下へ走り込むライアン・ロシターへの合わせのパスで1アシストを記録。A東京のディフェンスメカニズムを一瞬で崩す完璧な連携で、栃木ブースターに健在ぶりをアピールしている。
そのロシターは26得点と大暴れ。それでも試合後は彼らしく、「周りが何もせず、自分が一人で26得点を取ったとは思わない」と、自分の成果を誇ることはなく、チームについても「まだいろいろ修正していく、成長していかなければいけない部分もあるので、この週末のように良い試合をしっかりやって、その経験を重ねて改善していければいい」と語る。
外国籍選手であるロシターだが、持ち前のプロフェッショナル精神に加えてチームの在籍も6年目ということで、『助っ人』感は全くない。プレーの面でも精神面でもリーダーシップを発揮している。「今日の試合に勝っていたとしても、週明けのミーティングの内容は変わらないと思う。どんな試合でも良いところと悪いところがある。今このプレシーズンの時期に問題点をしっかりとあぶり出し、修正していきたい」
田臥とロシターが先頭に立ってチームを引っ張ることが、栃木にとっては一つの『保証』となっている。Bリーグチャンピオン奪還を目指すシーズンが、いよいよ幕を開ける。