「苦しい時間帯にミスが起きてしまうのは仕方がない」
横浜ビー・コルセアーズは開幕6試合を終えて、戦績を3勝3敗としている。
敗れた3試合は開幕節の川崎ブレイブサンダース戦とサンロッカーズ渋谷との第1戦だ。この3試合ともに前半は互角に戦っているが、後半で失速しゲームを落としている。昨日のSR渋谷との第2戦でも、前半に最大21点のリードを奪ったものの、後半には数点差まで詰められる場面がいくつかあった。
それでも、横浜は焦ることなくシュートチャンスを作り出しては、勝負どころで3ポイントシュートを沈めて逃げ切ることに成功した。青木勇人ヘッドコーチは、相手のペースに呑まれることなく踏ん張り切れた要因を「ある程度はクッションのある点差だったので、そこで一喜一憂するのではなく、やられたらいけないことを最初から最後まで徹底できた」と振り返った。
勝ち切りはしたものの、やはり気になるのが後半の失速だ。青木コーチは「相手もプロフェッショナルなので、ハーフタイムでいろいろなところを修正してくるので、簡単にいく試合はなかなかないと思います。私たちは40分間、みんなで我慢しながらギリギリの戦いを繰り広げていくチームなので、前半ですべてが決まるとは考えていません」と言う。
それでも「チームとしての次の武器を探さないといけない」とも続けた。「相手チームも修正をして自分たちが嫌なところを突いてくるので、そこに関してはもう1ランク、さらに上の強度で演出できるようにする必要があります。さらにそれをかいくぐれるようなオフェンスを展開できるように、チームとしての次の武器を探さないといけません」
「私たちは、誰かに頼るというスーパースターがいるチームではありません。その時々でイニシアチブがどこにあるかを探しながらプレーしなければいけないところで、後半ではそこが少しずつ潰されてきて、次の展開を探すまでの時間が第3クォーターでは少し続くのかなと思います。ただ、シーズンを通して、次の一手、二手というのを積み重ねていけば、後半の失速は改善できると思います」
「ポジティブな声かけを僕は意識しています」
横浜の大黒柱であるパトリック・アウダは「第1戦を戦ってみて、これは絶対に勝てない相手ではないという自覚と認識がありました」と言い、第2戦をこう振り返った。
「今日の試合が難しい展開になったとしても、『絶対に勝てる相手なんだ』という気持ちを持って試合に挑みました。すべての細かい点において、昨日の試合であった改善点をみんなでカバーし合った結果が、今日の勝利に繋がりました」
アウダは第2戦でチーム最長となる30分半のプレータイムで、19得点10リバウンド3アシストを記録し、攻守に活躍した。この数字だけでなく、彼は試合中に仲間と頻繁にコミュニケーションを取る姿が見られた。この試合でもレイトン・ハモンズとの連携ミスの直後や他の場面でも、その都度、仲間と話し合うシーンがあった。アウダは「ミスをするのは仕方がないこと」とし、「ミスした後に何がダメだったかを話し合うというよりは、ミスをどう取り返すかとか、ポジティブな声かけを僕は意識しています」と明かした。
「試合の局面や展開によっては、苦しい時間帯にミスが起きてしまうのは仕方がない。そういった時は修正するというよりも、細かいかもしれませんが一つの声かけなど、一人ひとりに自信を持たせる意味で僕は声をかけるようにしています。試合展開によってはいろいろな場面がありますが、僕は細かいところを話し合うというよりは、チーム全体の士気を上げるようなコミュニケーションを意識してやっています」
アウダが言うように、スポーツをする上でメンタル面の影響は大きく、大事な場面でミスを犯せば、その後も引きずってしまうことは少なくない。そんな時に、実績も経験も豊富なアウダからポジティブな言葉をもらったら、他の選手は再び前を向くことができる。
また、アウダは6試合を終えたばかりだが、チームとしての自信もつかんできていると言う。「まだ6試合だけですが、僕たちが100%ファイトすることで、どんな相手でも確実に戦えるというところを示すことができました。シーズン序盤からそういった姿勢、横浜のバスケットをプレーで見せることができているので、そこは昨シーズンと比べて確実に良くなっていると言える点です」
次節、横浜はホームに島根スサノオマジックを迎える。東京オリンピックに出場した金丸晃輔やニック・ケイを今オフに獲得し、注目されているチームだ。サンロッカーズ渋谷との2試合で得た収穫と課題を、次戦に生かすことができるか注目したい。