八村塁

「最も大事なことは復帰に向けて時間をかけることだ」

NBA3年目のシーズンに臨むウィザーズの八村塁はトレーニングキャンプ始動を『個人的な理由』により欠席した。先日、八村のワシントンDC帰還が判明したが、新指揮官のウェス・アンセルドJr.は健康安全プロトコルがあと数日で終わるとコメントした。

「塁は健康安全プロトコルに入っていて、おそらくあと数日でその期間が終わる。その後に個人練習を始める予定だ。彼に観てもらいたい映像は用意できている。タイミングを見計らってフィルムスタディーを行う予定だが、戦術面だけでも時間はかかると思う」

今シーズンのウィザーズはスコット・ブルックスからアンセルドJr.にヘッドコーチが交代し、ラッセル・ウェストブルックとのトレードでカイル・クーズマ、モントレズ・ハレル、ケンテイビアス・コルドウェル・ポープらが加入するなど、昨シーズンとは全く別のチームになった。戦術も変化するため、新指揮官がフィルムセッションに多くの時間を割くことは当然だろう。

八村はメンタルヘルスが原因でチームへの合流が遅れたとの一部報道があった。健康安全プロトコル期間が明ければ、個人練習を再開するとのことだが、メンタルヘルスの懸念が払拭されたわけではないようだ。アンセルドJr.ヘッドコーチは実戦復帰の見通しが立っていないことを明かした。

「じっくりと様子を見ていきたい。彼が万全な時に復帰すればいいと思っている。最も大事なことは復帰に向けて時間をかけることだ。他の選手にも言えることだが、ブレずに取り組むこと。一度にすべてを吸収しようとすると圧倒されてしまう。一つひとつの目的を明確にして丁寧に取り組みたい。その土台ができてからテーマの幅を少しずつ広げていける。どんな選手でも離脱明けにいきなり結果を出すことは難しい」

主力選手であればあるほど、クラブやヘッドコーチは早めに復帰させたいと思うもの。だが、その感情を出し過ぎれば、選手との関係悪化に繋がることもある。カワイ・レナードはケガのリハビリ方法を巡ってチームのメディカルスタッフと対立し、その結果、長年プレーしたスパーズを離れた。この観点から見れば、ウィザーズが八村の復帰を急いでいないことは朗報だ。新たなチームでも主力を任されるであろう八村には、万全な状態でコートに戻ってきてもらいたい。