ニック・ファジーカス

鬼門のブレックスアリーナで勝利「しっかり勝てて良かった」

川崎ブレイブサンダースは第2節、敵地での宇都宮ブレックス戦を1勝1敗で終えた。初戦は後半にディフェンスが崩れて66-78で敗戦するも、第2戦は簡単に速攻を許していた前日の課題を修正し、78-76で競り勝った

川崎の大黒柱ニック・ファジーカスは、スイッチによって日本人選手とのミスマッチを作り出してシュートを決める得意のパターンでチームを牽引。初戦は21得点7リバウンド、2試合目は18得点9リバウンドといつも通りのパフォーマンスだった。

もちろん連勝するのがベストだが、2試合目の試合後会見においてファジーカスは初戦の負けからカムバックしたことを評価する。

「とてもタフな戦いでした。ブレックスアリーナはすごく難しい会場です。宇都宮の選手、そしてファンには敬意を持っていて、アウェーチームがここで勝利するのは困難だと思っています。だからこそ、今日しっかり勝てて良かったです」

そして「昨日と今日は、勢いに違いがありました」と勝因を分析する。「昨日は第2クォーターに勢いを失い、そこから立て直すことができなかった。今日は途中でリードを奪われることもありましたが、自分たちがしっかり主導権を握り、自分たちの流れを手放すことがなかったです」

今オフ、川崎は外国籍の一人にガードのマット・ジャニングが加入。昨シーズンに猛威を振るった実質オン3のラインナップも、ファジーカス、ジョーダン・ヒース、パブロ・アギラールによるビッグマン3人ではなく、ファジーカスとジャニングに、ヒースかアギラールのトリオが中心へと陣容が変わっている。

「僕はマットが何をできるのか、マットは僕が何をできるのか理解していると思います。ただ、僕とマットの連携はまだ4試合を戦っただけで、探っている状態です」と語るファージカスだが、昨シーズンとの違いを次のように見ている。

「ビッグラインナップは昨シーズン以上にダイナミックになっています。去年はJ(ヒース)、パブロと一緒にプレーして、スクリーンをかけあってミスマッチを作り出して攻めていました。今はマットがいることで、彼がハンドラーになってピック&ロールから攻めることができます。今までとは全くの別物だし、すごく強いものになる可能性があります。ここから先、どこまで通用していくのか見ていきたいです」

ニック・ファジーカス

守備の負担は増えるも「良いチューンナップをする機会になった」

クイックリリースからの3ポイントシュートを武器とするジャニングの存在が、川崎にこれまで以上の爆発力をもたらすのは間違いない。ジャニングは非凡なパスセンスの持ち主で、クリエイト能力にも優れており、攻撃の新しい中心となれる実力者だ。

それでも、ジャニングがコートに立つには帰化枠のファジーカスとの併用ありきで、宇都宮との連戦で日本人ビッグマンの鎌田裕也はプレータイムがなかった。昨シーズンまでのオン3使用時と比べると、ゴール下のディフェンスにおけるファジーカスの負担は大きくなっている。

円熟の技術で健在ぶりを示すファージカスとはいえ36歳と大ベテランの域にあり、Bリーグ発足当初に比べ運動量は落ちている。そしてBリーグでは外国籍ビッグマンの質は年々向上し、インサイドの戦いはより過酷なものとなっている。川崎がオン3使用時、相手がファジーカスに仕掛けることで消耗を誘うのは、オフェンス面での彼の威力を削ぐ効果も含め合理的な選択となっている。今回の宇都宮戦においても、ファージカスのところで相手ビッグマンのアイザック・フォトゥ、ジョシュ・スコットが積極的に1対1を仕掛けていた。そしてフォトゥは、2試合目で6つもオフェンスリバウンドを取っていた。

今節、川崎の対戦相手は琉球ゴールデンキングスで、オフェンスリバウンドではリーグ最強のビッグマン、ジャック・クーリーが待ち構える。宇都宮戦に続きファジーカスにとってはタフな状況になるだろうが、本人もそれは十分に予想している。

「フォトゥ選手、スコット選手と同じように、琉球も攻めてくるでしょう。クーリー選手のオフェンスリバウンドは脅威ですし、インサイドアタックを警戒しないといけない。今回の宇都宮戦は、この部分について良いチューンナップをする機会になったと思います。この経験を生かし、来週のリバウンドについて良い準備をしたいです」

敵地での2連戦、川崎は新戦力ジャニングのプレーぶりとともに、彼をどんなラインナップで起用するのか。ゴール下のディフェンスをどのように構築していくのかは、目先の勝敗だけでなく、これから先を見据えても注目すべき点となる。