ベン・シモンズ

「昨シーズンは戦力に厚みが足りなかったが、それも改善できた」

ベン・シモンズがフィラデルフィアに戻って来た。現地10月11日、ネッツとのプレシーズンゲームが行われていたホームアリーナに姿を見せた彼は、新型コロナウイルスの検査を受けた。試合前の会見でヘッドコーチのドック・リバースは「彼には戻って来てほしいが、今の時点で報告できることは何もない」と話していたから、この試合中に事態は大きく進展したことになる。

チーム練習を欠席し、試合に出場しないままであればシモンズは相当な金額の罰金を払わなければならない。それを逃れるために戻って来たとの見方もあるが、『NBA TV』に出演したリバースは、シモンズが間もなくチームに戻って来ると確信している。

司会者から「30年近くNBAにいて、今ほど眠れない日々を過ごしたことはないのでは?」と冒頭に質問されたリバースは「眠れないようなことがあるんだっけ?」と笑顔で答え、「チームに参加していない選手がいるのは確かだが、我々は彼に戻って来てほしいと思っているし、できる限りのコミュニケーションは取っている。その結果を見守るだけだ」と続けた。

オフを通じて、シクサーズの周辺ではシモンズのネガティブな話題で持ち切りで、優勝候補としてのチームへの期待が語られることはほとんどなかった。昨シーズンの終わり方が悪かった上に『ベン・シモンズ問題』が沸騰したのだから無理もないが、リバースは今のチームが先入観なしで見られることを望んでいる。

「昨シーズンは私も1年目で、新しい選手が多く、新しいシステムを取り入れた。それで東カンファレンスのファイナルまであと1勝のところまで行ったのは、誰も予想できなかった成果だ。しかし、それは最初の一歩でしかない。我々は成長を続け、次のステップに進みたい。昨シーズンの選手の多くが引き続きチームに残った。この継続性は我々にとって大きなメリットになる。ジョエル・エンビードとトバイアス・ハリスがいて、シェイク(ミルトン)にフルカン(コルクマズ)、セス・カリーとマティース(サイブル)もいる。ジョエルのバックアップがアンドレ・ドラモンドなのは脅威だよ。ジャズから来たジョージ・ニアンは全く話題にならないが、優れたフロアスペーサーで4つのポジションを守ることのできる素晴らしい戦力だ。昨シーズンは戦力に厚みが足りなかったが、それも改善できた」

『ベン・シモンズ問題』で選手たちがバスケに集中できないのでは? という問いに対して、リバースは正直に「私もその答えが知りたい。実際、簡単なことではない」と語る。

「でも、私が選手たちに伝えているのは、どのチームでも優勝しようと思ったら困難を乗り越えるものだ。そのためにはまずチームとして結束し、チームとしての成長に集中しなければならない。ファイナルに行くにはまだまだ努力が必要だ。だけど、昨シーズンにカンファレンスセミファイナルの第7戦に敗れた後、どの選手もみんな『準備ができていなかった』と言っていた。仲間を信頼し、小さなことでも進んでやって、チームのために自分を犠牲にすることが必要だったんだ。昨シーズンと同じように努力し、次は『準備ができている』状態であることを求めていく。そのために必要なすべてをやるつもりだ」