「状況に応じて何をコールするのか。そこで正しいことは自分の方ができる」
アルバルク東京は10月10日に行われた富山グラウジーズ戦で、114-81とオフェンス爆発で快勝。連敗スタートからの連勝で通算成績を2勝2敗に戻す価値ある週末となった。この試合、A東京はライアン・ロシターが23得点、アレックス・カークとセバスチャン・サイズが19得点とリーグ随一のポテンシャルを誇るインサイド陣が本領発揮。その彼らに続く活躍を見せたのが14得点9アシストの小島元基、14得点7リバウンドのザック・バランスキーだった。
ダブル・ダブルまであと1アシストに迫った小島は、試合をこう振り返る。「第1クォーターは点の入れ合いになってしまいましたが、そこから徐々に自分たちらしいディフェンスが出てきました。途中ちょっと難しい展開になりましたが、最終的に良い終わり方となりました」
オフェンスをコントロールする司令塔として、新戦力のロシターやサイズとの連携をこう考えている。「ロシター選手はある意味、ポイントガードです。彼に任せる部分は良い意味で増やしていこうと思いつつ、頼りすぎるのもいけない。サイズ選手は動けるので、それを上手く利用して良いオフェンス、ディフェンスをやっていきたいと今は感じながらやっています」
今オフ、A東京は帰化枠でロシターを獲得したこともあり、外国籍の1人にポイントガードのジョーダン・テイラーを加えた。安藤誓哉がチームを去ったが、田中大貴は日本代表のプレーが示すようにポイントガードをそつなくこなせる。昨シーズンまで安藤とのローテーションで出場機会を得ていた小島だが、チーム合流の遅れからコンディション調整中のテイラーが万全の状態になった時には、これまでのようにコートに立てるのかは不透明だ。
「テイラーが徐々に入ってくると思いますが、昔から調子の良い選手が試合に出ればいいと思います。もちろん競争はしますし、各個人でチームに対していろいろな考えがあると思いますが、今年のチームの目標に合っている人がプレーすればいいです」
司令塔を巡る過酷な競争はあるが、小島はあくまでチームファーストを貫き、自分がどんな状況でもコートに立ちたいと我を出すことはない。ただ、今のメンバーではA東京の司令塔として最も経験豊富であることへの矜恃はある。「状況に応じて何をコールするのか。そこで正しいことは自分の方ができると思っています。ルカの言いたいことは何となく分かります」
「チームにとって一番良い判断ができる選手でありたいです」
今節からスタメン起用となったバランスキーは、「新加入選手が入って、まだ徐々にお互いのことを知っていく段階ですが、噛み合ってきて良い方向になっています。オプションも増えている」と攻撃のグレードアップへの手応えを語った。ただ、A東京の根幹はあくまで堅守にあると続ける。「点は取れていますが、個人的には失点にこだわってやっていきたいです」
リーグ随一のタレント集団の中で、バランスキーは自分の役割をこう考えている。「チーム在籍年数が3番目に長く、リーダーシップをもっと発揮する。積極的にシュートを打って点を取りに行きたいと思いつつ、状況に応じてチームにとって一番良い判断ができる選手でありたいです」
ロシター、サイズ、テイラーに安藤周人と、A東京の新戦力たちはそれぞれ主役になれる実力者たち。ただ、いくら個々のタレントに優れていても、チームとして噛み合わなければ結果は出ない。だからこそ、ルカ・パヴィチェヴィッチの戦術を熟知し、2度のリーグ優勝を経験と、自分たちがどんな戦いをできれば勝てるかを知る小島、ザックの存在はA東京の土台として大切だ。