「正しい方向に進んで、経験を積んでいくことを大事にしたい」
ルグエンツ・ドルトはドラフト外の入団でNBAキャリア3年目を迎えた若手だが、すでにサンダーのリーダーになりつつある。2019年のNBAドラフトで指名を受けられず、2ウェイ契約でサンダーに加わった彼は、ハードワークを武器にすぐさま信頼を勝ち取り、先発起用されるようになった。新型コロナウイルスの影響でシーズンが中断しても、彼の良いリズムは途切れなかった。むしろNBAのコートで得た経験を中断期間に咀嚼して自分の血肉に変え、さらに活躍するように。それまではサンダーのローカルスターに過ぎなかったが、プレーオフでロケッツのジェームズ・ハーデンをマークを担当。NBAでもトップクラスのスコアラーを封じ込めたことで、彼の知名度は一気に高まった。
ロケッツとのGAME7を落としてプレーオフのファーストラウンド突破は果たせなかったが、サンダーにとってもドルトにとっても充実した1年となった。本契約を勝ち取って迎えた2年目のシーズン、チームは途中からタンクへと舵を切って負け続けたが、ドルトは22勝50敗と不振に終わった昨シーズンを「学びの1年」と称し、今度はオフェンス面の才能を開花させる。1年目と比べてシュート試投数が6.1から12.3へ、得点も6.8から14.0へと倍増となった。オフェンスに力を注ぐようになってディフェンスが疎かになることもなく、ただ激しく当たるだけでなく相手を研究してプレーを読む精度が上がり、プレータイムが伸びてもファウルをコントロールしながら手堅く守る術も学んだ。
3年目のシーズン、チームも彼自身も飛躍を期している。サンダーのサム・プレスティGMは、「若い選手はまず自分をアピールしようとする。そしてチームの一員として認められようとする。最後はチームのアイデンティティを構築しようとする。選手の顔ぶれは変わっても、チームの理念や価値観は揺るがない」とし、その象徴がドルトだと最大級の期待を込めて語った。
もっとも、そのドルトは今の時点でチームも自分も過大評価せず、正しい方向に進むことに集中している。「まだ新しい選手とどうやっていくのか探っている段階だね。僕たちは今シーズンも若いチームだし、日々の練習と試合で競っていく。正しい方向に進んで、経験を積んでいくことを大事にしたい。みんなで一緒にプレーする機会が増えるたびに良くなっていると感じているよ」
3年目の成長についても、大きなことは言わない。「僕はみんなも知っているように攻守両方でインテンシティ高くプレーする選手であり、それを変えることなくあらゆる面で成長していきたい」
一昨シーズンは西カンファレンスのサプライズチームとなった。その時の司令塔、クリス・ポールはもういないが、23歳のシェイ・ギルジャス・アレクサンダーや22歳のドルトがリーダーへと成長している。現地10月10日に行われたバックスとのプレシーズンゲーム、スタメンの平均年齢は21歳だった。タンクのシーズンから一転、今後に繋がる良い土台を築くことができるか。その過程ではドルトのさらなる成長が見られるはずだ。