「チームとしてやっていかないとB1で勝つのは難しい」
千葉ジェッツは群馬クレインサンダーズとのアウェーゲームで29点差をつける圧勝を収めた。昨シーズンのファイナリストであり、千葉と激戦を繰り広げてきた宇都宮ブレックスを相手に、群馬は開幕2連勝を達成しており、ここまでの差がつくのは予想外だった。
この圧勝劇を牽引したのは富樫勇樹だ。ピック&ロールから決して簡単ではないシュートを高確率で決め続け、相手ディフェンスを崩してはオフェンス優位な状況を作り出していった。富樫は約24分のプレータイムで、8本中6本の3ポイントシュート成功を含む、28得点3アシストを記録した。
打てば入り、アシストも冴え、ドライブに行けばファウルを誘う。いわゆる『ゾーン』に入っていた富樫は「シュートタッチがすごく良かった」と話し、こう続けた。「打てるシュートは常に打つように心がけています。どんなプレーをしても上手くいく試合はシーズンの中であります。正直、チームとして何のセットをしても良いシュートが打てるというか、自分たちの打ちたいシュートが打てる状態が特に後半にありました」
この『イケイケ』の状態が生まれたのは富樫のピック&ロールが冴えていたからに尽きる。ただ、富樫はそれをシンプルにプレーした結果だと言う。「特に3ポイントシュートが入っていたので、ピック&ロールで相手が出てくるのは分かっていました。ビッグマンに戻せばアウトナンバーができる状況で、深く考えずに使ったら常に2対1ができたので、それをやっただけです」
ここまでの大差がついたのは、富樫が絶好調だったからと言っても過言ではない。ただ、このパフォーマンスが毎回続くわけではなく「調子が良くない時に、チームとしてどう戦って勝つかが大事。たまたま今日はシュートが入ってこういうゲームになりましたが、次は同じようなゲームにはならないと思う」と、気を引き締めた。
100点ゲームとなったためオフェンスばかりに目が行くが、トレイ・ジョーンズを封じたディフェンスでの勝利でもあった。ジョーンズは宇都宮との2試合で平均27.5得点を挙げたが、千葉は11得点3ターンオーバーに抑えた。富樫はディフェンスについての手応えを語るとともに、チーム力の差を指摘した。
「群馬は彼のチームで、彼をどう止めるかというのが一番の問題でした。トレイがボールを持った瞬間に全員がしっかりそこに集中して、スペースをなくすことができた。タレントが揃っていて、B1でも勝てるチームだと思うんですけど、(先発の)5人とベンチメンバーを含め、チームとしてやっていかないとB1で勝つのは難しいと思う」
外国籍選手など多少の入れ替えはあれど、コアメンバーが変わらずに、大野篤史ヘッドコーチとのタッグも6年目を迎え、成熟度に絶対的な自信を持つ富樫だからこそ言える言葉だ。第2戦も王者に死角はない。