サイモン故障のアクシデントも、守備で踏ん張りロースコアに持ち込む
京都ハンナリーズは今シーズン初のホームゲームで大阪エヴェッサと対戦した。どちらも開幕節では初戦で勝ち、第2戦を落として迎えた第2節。両チームともに良い流れを作りたいところだが、立ち上がりは良いシュートチャンスを作り出せずに得点が伸びず、流れに乗れない。
試合が動いたのは第2クォーター序盤、コート上に貼られたBリーグのロゴが剥がれて試合が数分間止まった後だった。いつものタイミングとは違う中断で、再開後に京都がリズムに乗れない。さらに再開後すぐにデイヴィッド・サイモンがカイル・ハントとの接触で足を痛めてベンチへ。合田怜の連続得点から大阪が10-2と走り、23-15と点差が離れた。
ただ、ここから京都が巻き返す。サイモン不在の間にジャスティン・ハーパーが奮起し、高さのある大阪にスモールラインナップで対抗する3ポイントシュート2本成功でチームを盛り立てる。また鈴木達也は第1クォーターの青木龍史からに続き、今度はケドリック・ストックマン・ジュニアと若いポイントガードに前からプレッシャーを掛けてボールを奪い、ワンマン速攻に持ち込んだ。鈴木は速攻でアイラ・ブラウンのブロックショットを緩急でかわして得点を奪うなど、重い展開の中で前半だけで8得点4アシストと突出した働きを見せた。
こうして京都が28-25と逆転して前半を終え、第3クォーターの途中からサイモンがコートに戻って来た。もともと動けるタイプではないためスピード勝負になればアスリート能力の高いハントに遅れを取るシーンもあったが、頼れる大黒柱のサイモンがいるだけで京都の選手たちは落ち着いてプレーできる。サイモンは久保田義章の出すアリウープパスをきっちりと押し込み、ダンクを狙うアイラ・ブラウンをブロックして永吉佑也の速攻に繋ぐなど攻守に存在感を発揮した。
48-45と京都の3点リードで試合は第4クォーターへ。大阪で最も爆発力のあるディージェイ・ニュービルを細川一輝がマークしてスペースを与えず、ロースコアのまま試合は進む。
しかし、第4クォーターのオフィシャルタイムアウトを過ぎると、デイミアン・リラードばりの『DJタイム』が発動する。しつこいマークをする細川を人とボールを連動させることで引き剥がしたニュービルは、クローズアウトするサイモンのファウルを受けながら3ポイントシュートを決める4点プレーで逆転。次のポゼッションでは細川の上からコーナースリーを沈めて63-57と一気に突き放した。
大阪の若いポイントガードに経験の差を見せ付けた鈴木達也
それでもニュービルのドライブしてのシュートはサイモンがブロック。残り2分18秒ではポストアップから攻めかけ、ペリー・エリスとアイラに囲まれながらも巧みにファウルを誘うバスケット・カウントと、再び攻守に渡るサイモンの活躍で京都が追い付いた。続く攻めでは明らかに苦手なハントのマークを受けるも、落ち着いてファウルを誘って64-63と逆転。その後には、ひたすらサイモンにフィニッシュを託すピック&ロールの連発から一転、鈴木がディフェンスのギャップを突くミドルジャンパーを決める変化も見せた。
リードチェンジを繰り返す展開は残り1分を切っても止まらない。大阪はひたすらニュービルに攻めを託す。残り18秒、ニュービルが細川のマークをスクリーンで引きはがしてのミドルジャンパーを決め、大阪が逆転。これで京都は追い詰められたが、残り5秒でタイムアウトを取るとサイモンにボールを託す。ハント相手にドライブで仕掛けたサイモンは、アイラがダブルチームに来るのを冷静に待ってパスを選択。ゴール下でフリーになったハーパーがイージーバスケットを決めて、68-67と京都が逆転。最後は怖い怖いニュービルの3ポイントシュートをきっちりと寄せて落とさせ、大混戦を1点差でモノにした。
終盤はすべてニュービルに託した大阪に対し、京都はサイモンを強調しながらも要所で鈴木、ハーパーが得点を奪い、これが土壇場で大阪を上回る要素となった。鈴木達也は14得点7アシストと、大阪の若いポイントガードに経験の差を見せ付け、細川は36分の出場で無得点ながら、前半はアイラにエリエット・ドンリーとサイズのある大阪の3番を、そして後半は絶対的なエースのニュービルを抑えるエースキラーの役割を果たして勝利に大きく貢献した。そしてやはり、サイモンの活躍なしに京都の勝利は語れない。前半にケガを負いながらも、後半に戻って来てからはその影響を感じさせないプレーで13得点10リバウンドを記録、そしてこの試合唯一のアシストが決勝点を演出するものとなった。
大阪は合田の復帰がプラス要素だが、アイラが3得点に竹内譲次が無得点、ペリー・エリスもハッスルを続ける京都のビッグマンを相手にインパクトを残せなかった。24得点5アシストと結果を出したニュービルの負担は昨シーズンより増している印象で、中村浩陸と橋本拓哉が復帰するまで既存の戦力を上手く組み合わせて結果を出していく必要がある。