広島ドラゴンフライズ

強みのインサイド陣を生かしつつ、外からも加点した広島

広島ドラゴンフライズが名古屋ダイヤモンドドルフィンズのホームに乗り込んだ開幕第3戦は、98-90で広島が勝利し開幕3連勝を記録した。

ビッグマンを含めた全員が3ポイントシュートを打つことができる名古屋Dとグレゴリー・エチェニケ、チャールズ・ジャクソンといったパワー系のインサイド陣を擁する広島という対照的なチームの戦いとなった今節。広島は名古屋Dの3ポイントシュートを警戒してスイッチディフェンスを行い、対して名古屋Dはインサイドからの失点を防ぐために広島のビッグマンに対しダブルチームを仕掛けていく。こうして互いの長所を消し合う攻防が続き、拮抗した立ち上がりとなった。

25-25で迎えた第2クォーター。ここで広島が13-0のランを決め先手を取る。広島はエチェニケ、ジャクソン、トーマス・ケネディのビッグラインナップを敷き、よりインサイドを強調していく。名古屋Dのダブルチームに慣れてきたエチェニケは、パワーでディフェンスを圧倒しインサイドから得点を重ねた。

ビッグラインナップによりインサイドへの注意が高まった名古屋Dの裏を突くかのように、ここにきて辻直人が爆発する。ケネディとの合わせから3ポイントシュートを決めると、今度はドライブで得点。その後も3連続で3ポイントシュートを沈め、約4分間で14得点を決めた。ニック・メイヨもスティールからのコースト・トゥ・コーストでダンクを決めるなどチームに勢いを与え、52-46で前半を折り返した。

広島はエチェニケと辻だけでなく、寺嶋良も積極的なドライブで得点したり、アイザイア・マーフィーも身体能力を生かしたディフェンスやリバウンド、ルーズボールに食らい付いたりと、チームに勢いを与える。そして、寺嶋&エチェニケ、メイヨ&エチェニケなど、攻撃の起点が多いことも武器となった。

第3クォーターの中盤からは名古屋Dのオールコートディフェンスとトランジションバスケに苦戦し、第4クォーターのオフィシャルタイムアウトでは84-81と3点差にまで詰められたが、ここでも辻が流れを変えた。最終クォーターの頭をベンチから見ていた辻は、コートに戻ると3連続で3ポイントシュートを沈める。ディフェンス2枚に激しくマークを受けても、ステップバックスリーを沈めるなど止まらない。こうして辻の活躍もありリードを広げた広島が最終スコア98-90で勝利した。

広島は辻がフィールドゴール11本中10本成功、うち3ポイントシュートが8本中7本成功の27得点4アシスト、寺嶋が16得点2リバウンド5アシスト、エチェニケとメイヨがともに12得点と、バランス良く得点を重ねた。

広島ドラゴンフライズ

デニスコーチ「寺嶋選手と辻選手にやられた」

敗れた名古屋Dのショーン・デニスヘッドコーチは「ウチがやりたいテンポのバスケットはできたけど、広島の調子が良かったです」と振り返り、特に広島のガード陣が素晴らしかったと続けた。

「ガード陣が良かったので、どうやって止めるかを考えないといけません。どうやってペネトレイトを止めるか、どうやってピック&ロールに対応するかを考えないといけないです。寺嶋選手と辻選手にやられたので、アウトサイドのディフェンスを修正しないといけません」

一方、開幕3連勝となった広島のカイル・ミリングヘッドコーチは「全く違うスタイルのチームが激突しました」と言い、こう総括した。「前半は向こうの3ポイントシュートが当たっていたので、自分たちのディフェンスを継続してやろうと伝えましたし、スイッチでかなり相手のオフェンスをかき回すことができたと思います。ウチの強みはインサイドにヒットしてアタックする。あちらは走って3ポイントシュートを打つ。異なるチームの激突になりましたが、しっかり勝利をモノにできました」

そして最大の勝因を「相手のトランジションオフェンスをコントロールできたのが要因です」と語った。「相手は走ってくるチームだと分かっていたので、準備をしていました。その中でウチのビッグマンがそのペースについていけたことが大きいです」