このままワクチン接種を拒めば、ホームゲーム全試合の欠場も
ネッツはサンディエゴでの1週間の合宿を終え、ホームのブルックリンに戻って来た。しかし、そこにカイリー・アービングの姿はない。新型コロナウイルスのワクチン接種について彼は「プライバシーの問題」として詳細を明らかにしていないが、NBAでは各チームそれぞれの地域の予防接種ルールを適用しており、ネッツの場合は未接種の選手は屋内での練習やプレーが禁止となる。サンディエゴでの練習には参加し、アウェーでレイカーズと戦ったプレシーズンゲームではコートサイドにいたカイリーが、チームがブルックリンに戻って来ると姿を見せないのは『そういうこと』だろう。
指揮官のスティーブ・ナッシュは「カイリーはここにいない。我々はカイリーのことを支持しているし、彼の味方だ。必要なサポートをしていくつもりだ」と語るが、この問題が今後どう進むかはナッシュにも分かっていない。練習に参加できないカイリーに別の練習場所を用意したり、トレーニングの指示をしたりするつもりはないと言い、「今のところは心配していない。ここまでは素晴らしい準備ができている」と続けた。
『今のところは』さほど心配する必要はないが、このままカイリーがワクチン接種に同意せず、ホームゲームすべてを欠場するとなれば、ネッツの今シーズンの戦いは大きな影響を受ける。
もともとネッツは、昨シーズン開幕後にジェームズ・ハーデンを獲得するトレードでロスターが大きく入れ替わったこともあり、試合をこなす中でどれだけケミストリーを高められるかが問われてきた。シーズンが進むにつれてケガ人が増え、今度はそれぞれの選手がどうコンディションを維持するかが注目された。連携の面で言えば、ケビン・デュラントとカイリー、ハーデンの『ビッグ3』はそれぞれ自己犠牲精神を発揮してチームプレーに徹し、一緒にプレーする時間が十分でなかったにもかかわらず良いパフォーマンスを見せた。だが、2年目のシーズン開幕を控えたこの時期にカイリーが練習に参加できないのは、チームケミストリーを作る上で痛手となる。そしてカイリーがホームゲームに出場しないとなれば、ケガがなくても『ビッグ3』の揃い踏みを見られる機会が半減することになる。
ネッツは2番手のポイントガードとしてスパーズからパティ・ミルズを獲得している。ミルズはこの問題を受けて「僕がプレーする準備は変わらない」と語るが、この状況は想定していなかったはずだ。レギュラーシーズン開幕まで2週間。カイリーが無事にチームに合流できるのか、チーム関係者とファンはやきもきした時期を過ごすことになる。