渡邊雄太とはお互いにアシストする『ダンクの競演』を披露
ラプターズが1巡目4位指名したスコッティ・バーンズが、素晴らしい実戦デビューを飾った。プレシーズンゲームの初戦、パスカル・シアカムにクリス・ブーシェイ、ケム・バーチとビッグマンの欠場が相次いだシクサーズ戦において、バーンズはパワーフォワードのポジションで先発出場。最初はやや硬さも見られたが、身体が温まるにつれて動きが良くなり、開始2分でポストアップからペイント内に飛び込むゴラン・ドラギッチの動きを見逃さずにアシストを送り、チームの初得点を演出。その後は前評判どおりの攻守両面でアグレッシブなプレーを見せ、13得点9リバウンド6アシスト2スティール2ブロックを記録した。
彼のハイライトは第2クォーター開始直後に決めたスラムダンクだった。渡邊雄太からパスを受け取り、ハンズオフでボールを戻すフェイクから反転すると、ダニー・グリーンを振り切るアタックから豪快なダンクを叩き込んだ。さらにはファストブレイクの先頭を走り、パスが乱れてそのままシュートに持ち込めなくなるとすぐにプレーを組み立て直す状況判断をして、彼に続いてゴールに飛び込んでくる渡邊のダンクをアシストして『お返し』。どちらも会場を大いに沸かせるビッグプレーだった。
試合後のバーンズは、攻守にエネルギー満点の自分のプレースタイルについて「どの試合でも僕はそうする。エネルギーは伝わるものだから、チームに、アリーナ全体に伝えたい。僕はただ毎日バスケを楽しみ、モチベーションをぶつけようとしている。攻撃も守備も、すべてのことに絡んでいきたいんだ」と語る。
ラプターズはディフェンスのチームで、ニック・ナースのバスケはガッツよりも戦術が求められる。「今はまだお互いのことを理解しようとしている段階だから難しい部分はある。だけど、お互いに良い感触を得ているところだ。ディフェンスで自分のやるべき仕事をして、オフェンスへと繋ぐ。システムを学べばそれだけ成長できる。どんどん良くなっていくと思うよ」
記者から「今日一番良かったことは?」と聞かれたバーンズは、うれしそうに笑いながら「今日はたくさん良いことがあったからなあ」としばし考え、「試合後にファンが僕に愛情を示してくれたことだね。おそらく、それが今日の一番だ」
昨シーズンはホームアリーナを使えず、タンパを仮の本拠地としたラプターズは、ようやくトロントに戻ることができた。地元ファンにとっても、久々の試合で注目のルーキーが思い切りの良いプレーを見せたバーンズは『今日の一番』だったに違いない。