選手層の厚さを生かし、岸本隆一の3ポイントシュートから逆転
琉球ゴールデンキングスとアルバルク東京の第2戦。琉球は劣勢で迎えた第4クォーターに、岸本隆一の3ポイントシュート3本成功を含む12得点を筆頭に29-13と圧倒し、82-74で逆転勝利を収めた。9月30日に行われた先出し開幕に続く連勝スタートを飾っている。
第1クォーター、琉球は初戦ファウルトラブルで苦しんだジャック・クーリーが本領発揮のインサイドアタックに加え、ミドルシュートも2本成功と活躍。守っては出だしからエナジー全開と攻守で優位に立ち、最初の5分で10-2と先手を取る。しかし、A東京はベンチスタートのセバスチャン・サイズがこのクォーターで8得点と奮闘して盛り返す。
琉球の6点リードで迎えた第2クォーター、A東京はピック&ロールからしっかりズレを作って安藤周人の3ポイントシュート、アレックス・カークのミドルシュートで序盤に逆転する。だが、琉球はアレン・ダーラムがスティールからの速攻でダンク、さらに終了間際にも今村佳太のスティールからドウェイン・エバンスの得点に繋げるなど、激しいディフェンスから盛り返すことで最終的には6点リードと、第1クォーターと同じ形で試合を折り返す。
しかし、第3クォーターに入るとA東京は出だしから小酒部泰暉、安藤のアウトサイド、さらに田中大貴のドライブによる怒涛の連続7得点で一気に逆転する。これで完全に勢いに乗ったA東京は、ライアン・ロシターが新天地での初得点をマークし流れをキープ。インサイドアタックの意識が強くなりすぎ、攻撃が単調になってターンオーバーの増える琉球に対し、このクォーターだけで田中が4アシストを記録するなどA東京はパスをしっかり回してシュートチャンスを作り出した。その結果、27-13とビッグクォーターを作り出し、61-53と逆転する。
このままA東京が押し切るかと思われたが、第4クォーター琉球は最初のポゼッションで桶谷大ヘッドコーチが「隆一が冷静にシュートを1つ沈めてくれてから、チームとしても本来の冷静さを取り戻せました」と称える岸本の3ポイントシュート成功で悪い流れを変えることに成功。すると、岸本、コー・フリッピン、牧隼利の3ガードが前からの激しいプレッシャーを仕掛け、A東京にタフショットを強いる。そこからのトランジションでエバンスが決める展開が増え、オフィシャルタイムアウト時には69-65と試合をひっくり返す。
その後も琉球の流れは続き、残り2分半にフリッピンがターンオーバー奪取からの速攻でファウル獲得。フリースロー2本目を外すがクーリーがリバウンドを取り、岸本の3ポイントシュートに繋げる、琉球の強みが凝縮されたような流れでリードを12点差にまで広げて勝負アリとなった。
A東京は連敗スタート「我々の目指すべき完成度、レベルに到達していない」
琉球は開幕戦で帰化枠の小寺ハミルトンゲイリー、アレン・ダーラム、エバンスを同時起用するビッグラインナップがはまって、第4クォーターに18-8と圧倒し勝利した。それが今日は岸本、フリッピン、牧、エバンス、クーリーと全く違うラインナップが機能して第4クォーターで逆転。この2試合、全く異なる布陣ながら第4クォーターで同じように大差を付け、連日の逆転勝ちとなった。
これ以上ない形で今シーズンの琉球の特徴である選手層の厚さを見せられたことに桶谷ヘッドコーチも手応えを語る。「今シーズンの強みが第4クォーターに出ました。流れが悪かったとしてもどんどん選手交代をして、当たるラインナップまで変えていける。前半はリズムをつかんでもらうために、いろいろな選手を使わないといけないので難しい部分はありますが、特に後半はやりやすいです。ベンチの層の厚さがあるチームの良さが出ました。こういう戦いはまだあると思うので、第4クォーターに冷静にプレーを続けるマインドを持たせてチーム作りをしていきたいです」
また指揮官は、連勝という結果に加え内容にも満足できたと強調した。「正直、この2試合はレギュラーシーズンの30分の1という位置づけで、良くも悪くも自分たちがこれから戦っていくためのベースを作るための試合というテーマでした。そこで2試合とも違う展開があった中で、自分たちの力を後半に出せたのは収穫です。内容を最も重視する中で、結果も得られたのは良かったです」
一方、痛恨の連敗スタートとなったA東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチは、敗因をこう語る。「ゲーム1と同じで、今日もフィジカル面で40分間戦えなかった。もちろん良い時間帯もありましたが、フィジカル面で両試合とも対抗できなかったです」
図らずも2試合とも第4クォーターに大差を付けられての逆転負けとなったが、その理由として「琉球さんは非常に良いパフォーマンスを見せました」と触れた後で、自分たちの課題を明かす。「ケガや外国籍の合流が遅れたことで、十分なチーム練習ができていません。現段階ではフィジカル面のスタミナ、コンディション面で我々の目指すべき完成度、レベルに到達していない。新加入の選手がいて、コアな選手とのフィット感がまだまだです」
ともにオフに積極補強を行った両チームだが、今回の連戦では現段階におけるチームとしての練度の差が大きな差となった。