10月になっても『ベン・シモンズ問題』は収まらず、セブンティシクサーズは年俸支払いをストップする強硬措置へ

10月になっても『ベン・シモンズ問題』は収まらず、セブンティシクサーズは年俸支払いをストップする強硬措置へ

2021/10/02 11:40
ベン・シモンズ

エンビードも憤り「ここで命懸けでやっている選手たちに失礼だ」

セブンティシクサーズはトレーニングキャンプをスタートさせたが、そこにベン・シモンズの姿はない。球団と対立してトレードを要求している彼は、シクサーズでプレーするつもりがないと宣言している。シクサーズの関係者は彼をなだめようとしたが、シモンズはチームメートが会いに来ることさえ拒んだ。

チーム始動の時点でドック・リバースはトレードの噂に振り回される選手の境遇を嘆き、トバイアス・ハリスは「誰も彼を戦犯だとは思っていない」とシモンズを擁護し、ジョエル・エンビードは「彼に戻って来てほしい」という気持ちを語っていた。しかしこの数日で、これまでシモンズを気の毒に思っていた周囲の反応も変わりつつある。

エンビードは「正直、この状況に失望している」と本音を漏らした。「ここで命懸けでやっている選手たちに失礼だ。このチームには優れたシューターが揃っているけど、それは彼のスタイルに合わせようとした結果だ。それを言えばジミー・バトラーを放出したのも間違いだった。ちょっと驚くような決断だったからね」

チームはトレーニングに参加しない選手に罰金を科すことができる。1回目は2500ドル、2回目は5000ドル、3回目は7500ドルで、それ以降はシクサーズの場合、1回の欠席につき2万ドル。来週にはプレシーズンゲームが始まるが、正当な理由がなく試合を欠場した際には1試合につき23万ドルの罰金が科せられる。しかし、『超』が付く高給取りのNBAスター選手にとっては大きなダメージではない。シモンズの今シーズンの年俸は3300万ドル(約36億円)だ。『ESPN』はシモンズに近い関係者の証言として、シモンズは最初から罰金覚悟でトレード要求を取り下げず、チームにも合流しないつもりだと報じている。

今後、状況はさらに複雑になるだろう。シクサーズは10月1日が期日となっていたシモンズの年俸の25%の支払いをストップした。罰金をここから差し引き、問題が解決した時点で差額を支払うためだ。これは球団がシモンズをなだめるのをやめて、攻撃へと転じたようなもの。だが、これでシモンズが態度を変えるとは思えない。

今後、シモンズが取ると予想できる行動は、ケガのアピールだ。シモンズが簡単な手術を受けて、その診断書を提出すれば、罰金を科す理由はなくなる。シクサーズはプレーできなくてもチームに合流して、チームドクターの診察を受けることを求めるだろう。チームドクターと選手の意見が食い違うケースは過去にもしばしば起きてきた。かつてカワイ・レナードに対してスパーズが復帰可能と診断したのに対し、レナード本人はまだ無理をすべきでないと主張し、感情的な対立の末に退団となった。シモンズとシクサーズはすでに対立しており、状況はさらに悪い。この問題は、球団と選手との間に信頼関係があれば起こらない。だが、感情的な対立がなくならない限りは解決しない。

実際にシモンズがケガを主張し、これにシクサーズが強硬な対応を取るようになれば、事態はさらに悪化する。主力の一人であるシモンズが欠けるだけでなく、チームの士気低下を招くのは間違いない。ここまで問題が複雑となり、それが表沙汰になった以上、シクサーズが求める条件でのトレードが成立することはあり得ない。だからこそ、本来ならトレーニングキャンプ開始までに解決すべきだった。

一連のトラブルでシモンズは評価を大きく損ねたが、それはコートで取り戻すことができる。ダメージがより大きいシクサーズの側こそ、早急に収拾しなければならない。昨シーズンのレギュラーシーズンで東カンファレンストップの49勝を挙げたチームは、開幕を前に空中分解の危機にある。

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