田中大貴

「ここから何を学んで次に生かせるか」

アルバルク東京は琉球ゴールデンキングスとの先出し開幕戦に62-63と競り負けた。この試合、A東京は第1クォーターからアレックス・カーク、セバスチャン・サイズらが高確率でミドルシュートを沈めて主導権を握り、9点リードで第3クォーターを終えた。しかし、第4クォーターではわずか8得点とオフェンスが停滞し、手痛い逆転負けを喫した。

13得点6アシストと安定のパフォーマンスを見せたA東京の田中大貴は、試合を次のように振り返る。「前半はしっかりと自分たちのディフェンスが機能して、点数をそんなに取られていなかったです。オフェンスはメンバーが変わって上手くいっている時、いっていない時がありますが、そこをディフェンスでしっかり補っていました」

「(ドウェイン)エバンス選手が3番で出てきて、点数を詰められた時に上手くいかず、バタバタしてしまいました。開幕戦の大事な試合を落としたのは残念で、内容も残念に思いましたが、ただ、考え方を変えれば60試合の一つ。ここから何を学んで次に生かせるかです」

田中が語るように、A東京は琉球の帰化枠の小寺ハミルトンゲイリー、アレン・ダーラム、エバンスを同時起用するビッグラインナップへの対応に苦しんだ。その結果、前半は押さえ込めていたインサイドの失点が増え、それが逆転負けに繋がった。

指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチも、敗因について田中と同じ見解を示した。「勝敗を分ける鍵となったのは後半で、特に第4クォーターはディフェンスに緩みが出てしまいました。エバンス選手が3番で出てくる時間帯がかなり多く、そこで得点を許し、ファウルも混んでしまいました」

さらにルカヘッドコーチは8得点に終わった第4クォーターのオフェンスに関して「リズムをかなり狂わされてしまいました。その一つの例として冷静さを失い、状況判断が的確にできなかったです。狙いどころをしっかり突くことができませんでした」と続けた。

ルカ・パヴィチェヴィッチ

カークが完全復活「戻ってきてくれたのはチームにとっても良いこと」

A東京はライアン・ロシター、セバスチャン・サイズ、安藤周人を獲得し、オフに大きな話題を集めた。ロシターはシュート本数自体も5本と少なかったが、29分のプレータイムで0得点に終わるなど、3人とも本領発揮とはならなかった。初の公式戦を終えたばかりで、これからチームの連携は実戦を重ねることで自然と向上していくもので、チームケミストリーを心配する段階ではない。田中は言う。

「ディフェンスのレベルは彼らが加入して上がっていると思います。オフェンスでは気持ちよくプレーをさせてあげられたらと、今も思います。得点だけがすべてではないですが、ライアンは0点、周人もそんなに点を取っていない。これが一発目の試合で、なかなか移籍した本人たちも難しいところがありました。これからもっと彼らが気持ちよくプレーできるようにしていきたいです」

手堅い試合運びに定評のあるA東京らしからぬ敗戦は、当然のように悔いが残る。その中でも昨シーズンは背中の故障で後半戦を棒に振ったアレックス・カークが21得点5リバウンドと完全復活したのは明るい材料だ。「長い間、一緒にやっているのでお互いにやりたいことは分かっています。今日の試合でも自分とアレックスのところは、彼のシュートが入っていたこともありますが機能していました。彼は長い間、試合から遠ざかっていたので元気に戻ってきてくれたのはチームにとっても良いことです」

このように田中も盟友カークとの変わらぬ質の高いコンビプレーには大きな手応えを得ている。だからこそ、『タナカーク』以外でも同様の連携を確立していくことが必要と強調する。「アレックスは自分とのゲームの作り方を分かっていると思います。そういった部分で自分とライアン、セバス。周人とライアン、セバスなどでも、もっとお互いに息の合ったプレーを増やしていきたい」

シーズンは開幕したばかりで、目先の勝敗に神経質になる時期ではない。だが、強豪揃いの東地区でレギュラーシーズン1位を目指すには、連敗スタートは少なくない痛手となる。2日の第2戦に向けて、ルカヘッドコーチは静かにリベンジへの闘志を燃やしている。

「アルバルクにとってはすべての試合がビッグゲームです。今日の課題をいかに修正できるかがGame2では重要になります。何が何でも勝っていきたいです」