「5連覇が懸かっていますし、優勝しなきゃいけないと思っています」
アジアカップ3戦目の韓国戦は、課題の多い試合となった。立ち上がりに大量リードを奪ったものの、そこから韓国のフィジカルなディフェンス、球際の強さに押され始め、リバウンドが取れないことで速い攻めが出せなくなって攻撃が停滞。そこから終盤まで苦しい時間帯が長く続いた。それでも終盤になって相手の運動量が落ちると日本らしい速い展開が復活。3ポイントシュートも決まり始めて一気に逆転し、67-62の逆転勝利を収めた。
苦しい時間帯に崩れることなくディフェンスで粘り続けたことが勝因となったが、この我慢比べでチームを支えたのが赤穂ひまわりだった。得意のトランジションを封じられ、セットオフェンスでチャンスを作れない中で、様々な仕掛けから得点を繋ぎ、チームを踏ん張り続ける気力を与えた。
34分半のプレータイムで18得点7リバウンド。日本の精神的タフさを象徴する働きを、恩塚亨ヘッドコーチは「スーパーヒーローでした」と称える。「相手の嫌なところにしっかりプレッシャーをかけたり、リバンドで身体を張ってボールを繋いでくれたり、得点が止まっている時に3ポイントシュートやフリースローで確実に繋いでくれた。あの落ち着き払った振る舞いがチームに良い影響を与えている」
それでも、試合を振り返る赤穂の第一声は「ディフェンスでもっとローテーションできたし、取れるリバウンドを取れなかったりした。あまり良い出来ではなかった」だった。
「日本はハーフコートよりも走ったバスケの方が強い。でも走るにはリバウンドを取らなきゃ繋がらないので、リバウンドはずっと課題です。五輪のメンバーはリバウンドの意識がすごく高かったと、今このチームでやっていて思います。でも、メンバーも意識して身体を張る時間帯もあるけど、抜けちゃう時間帯もあるので。抜ける時間をなくして、リバウンドはみんなで取るものなので、みんなで協力して取っていきたい」
「守備で頑張って、そこから走る時間帯ができました」
それと同時に、赤穂は何より勝てたことにホッとした感も見せる。「簡単に勝てる試合だとは思っていなかったので、良いバスケができなかったとしても、勝つことが最優先で勝てて良かった。守備で頑張って、そこから走る時間帯ができました」
相手がペースを握る時間帯が長かったが、ビハインドは最大でも7点。韓国は押しながらも主力を下げるほどの余裕を持つことができず、3人が35分以上プレーしたことで終盤の勝負どころでガス欠に陥った。
東京オリンピックでの赤穂は先輩たちに付いていく立場。しかし今のチームでは、オリンピックチームでスタートを任された赤穂がコート内外でより多くの責任を背負い、引っ張る立場になっている。赤穂も「五輪とか前の大会では引っ張ってもらって、ついていく感じでした。でも今回は自分が自立してやらなきゃいけないと思っている」と、精神面での違いを説明する。
ただ、状況がどうあれ目指すのは優勝だけだ。「もちろん5連覇が懸かっていますし、優勝しなきゃいけないと思っています。新しいチームで良いバスケができていないのも自覚していますし、いろいろ言われるのも分かるけど、その中で今日も勝つことができました。その結果がすべてだと思うので、いろいろ言っている人を見返してやるような戦いにしたい」