写真=Getty Images

NBAワーストのフリースローシューターは汚名返上なるか

昨シーズンNBAワーストのフリースロー成功率35.5%を記録したピストンズのアンドレ・ドラモンドにとって、今オフの課題がフリースローの改善だったことは言うまでもない。

キャリアを通じても成功率わずか38%のドラモンドに弱点を克服させるため、チームは本人がフリースローを放つ場面を動画に収め、成功したケースだけを編集した動画を作成。ドラモンドはこの映像を夏の間に何度も繰り返し見ることで、良いイメージを脳裏に焼き付けたと『AP通信』に語っている。

「自分がフリースローを打っているところの動画をチームが撮影してくれた。成功したシーンを何度も何度も見て、脳を鍛えたんだ」

この手法は間違っていない。フリースローを苦手とする選手の場合、メンタル面の改善が良い結果を生むことも多い。実戦で、自信を持ってフリースローラインに立てるかどうかが重要な要素になるからだ。

NBAは、今シーズンからプレーに関係ない場面でのファウルに関するルールを改正。いわゆる『ハック戦術』と呼ばれるもので、試合展開が競ることの多い第4クォーター終盤、フリースロー成功率の低い選手に故意にファウルを仕掛け、点差が開くのを防ぐ戦術だ。

近年こうしたケースが増加しており、試合展開の遅延を問題視したリーグは、第4クォーター残り2分以降(またはオーバータイムの残り2分以降)にプレーに関係ない状況でファウルを犯した場合、ファウルを受けたチームにフリースロー1本とポゼッションが与えられていた現行のルールを、各クォーターの残り2分以降でも同様の措置がとられるよう改めた。ハック戦術を仕掛ける側にとっては、これまでより多くのポゼッションを相手チームに与えてしまうため、同戦術を使用するケースも減るだろうと見られている。

当然、今回の改正に異論を唱えるヘッドコーチは少なくない。チームの勝利のため、相手の弱点をつくのが常套手段であることを考えれば、フリースローが下手な選手を『ルールで守る』方針に納得がいかないのも理解できる。

今回のルール改正をリーグに決断させた一因でもあるドラモンドを擁するピストンズは、その恩恵に与れるのだろうか。イメトレの成果に注目が集まる。

ゴール下での存在感は大きいのでフリースローが上達すれば得点力アップに直結し、対戦相手にとっては脅威となる。