森川正明

昨シーズンの横浜ビー・コルセアーズは試合を重ねるに連れてチームケミストリーを高め、チーム最多勝利を挙げた。その横浜で得点源として活躍したのが、シーホース三河から加入した森川正明だ。2019-20シーズンは9.5分だった平均プレータイムが横浜では27.2分にまで伸び、9.5得点、3ポイントシュート成功率40.8%を記録。勝敗が懸かった場面でボールを託される機会も増えた。そんな森川に、ビーコル2年目の意気込みを聞いた。

「何よりも試合に出てプレーするということが、あらためて楽しかった」

――先ほど2021-22シーズンの出港式が終わりましたが、まずは昨シーズンの振り返りを聞かせてください。

チームとしてはチーム最多勝利の19勝を挙げることができましたが、自分たちのタレントやチーム力を考えれば、もうちょっと勝ち星を増やせたという思いがあったので、満足のいくシーズンではありませんでした。ただその分、昨シーズンはすごくチームのポテンシャルを感じることができたシーズンだったと思います。

僕自身は初めての移籍で、上手くいかないことはたくさんありました。でも、プレータイムをたくさんもらえるようになって、自分自身すごく成長できた部分がたくさんありました。三河で4シーズンやってきて、そこで積み上げたことを横浜でしっかり表現できた。試合を通して自分の力をどんどん伸ばせたと感じたシーズンでした。

――移籍を機にプレータイムが大幅に伸び、それに伴い得点やリバウンド、アシスト数も倍増しました。勝負どころでボールを託される場面も多かったと思います。一選手としては試合に出る機会が増えて、やっぱり楽しかったですか?

そうですね。コロナの影響で中止になった1試合以外は、ケガもなく全試合に出場できました。本当に悩んだり、苦しかった試合もありましたけど、やっぱり何よりも試合に出てプレーするということが、あらためて楽しかったです。対戦相手は本当にトップレベルの選手ばかりなので、毎試合の対戦が僕にとってはすごく楽しみでした。そこで上手くいくプレーができたり、成長をすごく感じられたので、個人としてはすごく充実したシーズンだったかなと思います。

――見ていても森川選手が生き生きとプレーしているのが分かりましたよ。

たぶん三河の時よりも生き生きしていたんじゃないかなと思います(笑)。でも、僕は横浜に来て劇的に成長したわけではありません。三河で試合に出られない期間もしっかり努力したり、いろいろと経験させてもらいました。それを土台に横浜で表現していたので、やっぱり三河のあの4年間がなければ今の自分はないと思っているので、大事な時間でしたね。

森川正明

「ディフェンスがしっかり機能した試合は勝ち星を挙げられた」

――昨シーズンは移籍1年目でしたが、今まで外から見ていた横浜に入ってみてどうでしたか?

個人的には、もうちょっとヤンチャなチームというイメージを持っていましたが、みんなすごく真面目でチームの雰囲気も良くて、チームで戦っていると感じました。もっと荒々しいチームなのかなと思っていたけど、実際はそんなこともなくて(笑)。会社の方やチームスタッフを含めて、本当にチーム一丸で戦っている感じです。

――昨シーズンはカイル・ミリングヘッドコーチがディフェンスのマインドを浸透させ、シーズン終盤にはチームとしてすごく良い方向に向かっていたと思います。ヘッドコーチが代わりましたが、そこはどうでしょうか?

昨シーズンからいるメンバーは、ディフェンスの意識を継続してやれていると思います。そのマインドは変えるのではなく、今シーズンはむしろ上げていくスタンスですね。もちろん、細かい戦術は変わってくると思いますが、個人のディフェンスに対する意識は昨シーズンよりも上がっている印象です。昨シーズンはディフェンスがしっかり機能した試合は勝ち星を挙げられたことが多かったので、そこを表現できれば今シーズンも上位チームに対しても勝ち星を取れる力はあると思います。

ロスターも外国籍選手を含めると、トータルして半分ぐらいは変わりましたし、昨シーズンよりも若くなったと思います。若いから経験が少ないかもしれませんが、アグレッシブに、ハードにプレーすることは若くてもできる部分です。僕自身はこのチームでは経験がある方ですし、プレーでチームを引っ張っていけるのは自分だと思っているので、今シーズンはそこを注目してください。

――得点力のあるアキ・チェンバース選手が移籍したことで、森川選手の負担が増えたとか、より引っ張っていかなければ、という思いが増したりしていますか?

誰かがいなくなったり、入って来たことで自分のプレーが変わるとは思っていません。もちろん負担は掛かってくるかもしれないですが、そこは僕だけじゃなくて、チーム全体で埋めていかなきゃいけないです。僕自身も昨シーズンのままだと今シーズンはキツいので、まだまだ課題はたくさんあります。昨シーズン以上に自覚を持ってプレーするので、誰がいなくなったとかマイナスな部分は考えずに、今シーズンは今シーズンの強みを出してやっていければ良いのかなと思っていますね。

森川正明

「僕がミスをしてしまうと、それがチームに伝染してしまう」

――「昨シーズンのままだと今シーズンはキツい」とのことですが、個人的な課題を教えてください。

昨シーズンはディフェンスの部分で、まだまだ課題を感じました。ソフトな部分があったり、どうしてもちょっとオフェンスに比重を置いてしまった部分があったと感じています。ただ、自分自身としては本当にオフェンスでもディフェンスでもチームに貢献したい気持ちがあるので、今シーズンはよりディフェンスに対する意識を高く持ってやっています。

昨シーズンはプレー判断の部分でミスがあったりしましたが、このチームで僕が崩れてはいけないというか。僕がミスをしてしまうと、それがチームに伝染してしまうと思うので、判断力は日々の練習やプレシーズンゲームでもすごく意識しています。そこは自分自身の課題ですが、改善できるように向き合ってプレーしていきたいです。

――プレー面でも、精神的な支えとしても『ビーコルのエース』になりつつありますね!

いや、まあ、エース……、どうなんですかね(笑)。肩書きは周りが言ってくれるもので、僕自身は気にしていないです。ただ、自分がこのチームでやらなきゃいけないとう気持ちは本当に持っています。今シーズンは僕が引っ張るという気持ちでやっていきたいです。

――先ほどの出港式で生原秀将キャプテンが、新シーズンの目標を『チャンピオンシップ出場』と言っていました。

そうですね。あと、チームとしては全チームから勝利を挙げたいという目標があります。まだBリーグになって一度も勝っていない相手もいるので、今シーズンはそのチームからも勝ち星を挙げて、上位チームを脅かす存在になりたいです。

僕個人としてはスタッツ的な部分で言うと、最低2桁得点を目標にやっていきたいです。相手のエース選手と対戦する機会も多くなってくると思うので、自分がしっかりマッチアップしてディフェンスでも貢献できる選手になりたいです。

――では、最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

コロナで今は難しい期間ですが、ファンの皆さんの声援を受けてプレーすると全然違うんです。アウェーでしたがプレシーズンゲームでも、ファンの方々の前でプレーすると本当に楽しくて、選手としてモチベーションがすごく上がりました。今シーズンは感染対策を十分にして、横浜の地を一緒に盛り上げていけたらなと思います。ぜひ会場に足を運んで、僕たちの応援をしていただければと思いますので、よろしくお願いします。