「もっとバスケが上手くなりたい」衝動に突き動かされる『父親』になった宇都直輝

2018/09/07
Bリーグ&国内
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宇都直輝

文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一、B.LEAGUE

「妻と息子を守る、その意味でバスケをもっと頑張る」

「もうホントに大変でした。オフ自体は2、3週間あったんですけど、その間に子供が生まれたので、オフと言っても子育てとバスケしかしてないですね」

オフをどう過ごしましたか? との問いに、宇都直輝はこう答える。7月13日に子供が生まれて父親になり、当然ながらオフの過ごし方も変わった。「昨シーズンが終わるのが遅くて最後まで試合をしてて、そこから代表に行きました。7月の頭に戻って来てオフになったんですけど、子育てをしている間に富山の練習も始まって。家族で富山に戻って、バスケと子育ての両立をして、あっという間に代表合宿で今です」

気の休まることがなかったと言う宇都だが、父親になったことがまた一つのモチベーションにもなっている。「妻と息子がいるので、2人をしっかり守っていかなきゃいけないです。そういう意味でバスケをもっと頑張らなきゃいけない、オリンピックに出たいという気持ちが強くなりました。もともと『もっとバスケが上手くなりたい』とはいつも思っていたんですけど、親になって自覚が出てきたのかな」

日本代表の予備登録メンバー24名に入ったが「正直、僕自身は当落線上にいると思っています。やっぱり富樫(勇樹)と篠山(竜青)さんがいて、3番手が僕なので、そこを覆さない限りは」と、宇都は代表における自身の立ち位置を語る。「でも、代表合宿に毎回呼ばれるという点ではまず目標クリア、ここからはA代表に定着するのが目標です。もし今回外れても、Window5に向けて盛り返してやっていくし、選ばれたら今まで以上に頑張って何かを残したいです」

宇都直輝

「過去は捨てて、もう一度上手くなるために」

Bリーグになってからの2年間、宇都は選手としての評価を大きく高めた。「上手くなりたい」という強い思いが形になっているという感覚は彼自身にあるのだろうか? 「富山に来てプレータイムをもらい始めて『宇都選手は上手くなったね』みたいに言われた時って、『いやいや、もともとできたし』という感じだったんです。でもやっぱりそれは違うなって」と宇都は言う。

「結局、バスケットが上手くなるってプレーだけじゃない。やっぱり心の方も一緒だと思うんです。じゃあトヨタの時に自分のプレーを出せなかった自分は、何て言うんですかね……メンタルが弱かったとか自信がなかったとか、いろいろあったんだと思います。そういった面では富山に来て、僕はすごく上手くなりました」

がむしゃらにやっている時は気付かないかもしれないが、自分の進んできた道を振り返れば成長ぶりが把握できる。「プロに入ってトヨタでディフェンスをみっちり教わって、そこは確実に上手くなりました。富山の1年目はドライブとポストアップだけ、昨シーズンはジャンプシュートをひたすら打てと言われて、覚えたことで自分のプレーが広がって。今は監督に3ポイントシュートも打てと言われているので、そこは着実に上手くなっているのかなと思います」

これまでの宇都は3ポイントシュートを打たなかった。「打たないというか、自信がないプレーはしたくなかったんです。でも今は、過去は捨ててもう一度上手くなるために、自信が持てるまでシューティングすればいい、シュートが上手くないと一回認めて頑張る、という意識でやっているので、外しても『まだ練習だから』って気を楽にしてできています」

宇都直輝

「ゆっくり狙って、相手が出て来たら全部勝てる」

この夏、富山にはデベロップメントコーチ兼オペレーターという役職で高岡大輔がやって来た。「すごく経験のある高岡さんが付きっ切りでシューティングを手伝ってくれているんです。僕のフォームを直すというより、『この方が打ちやすいんじゃない?』というアドバイスをもらって打っています」

高岡コーチからは「まず打つこと、ゆっくりでもいいから打つことをまず意識するように」と言われているそうだ。それもまた、宇都の気持ちを楽にしている。

「3ポイントシュートをゆっくり狙って、相手が出て来たらドライブで全部勝てる。出てこなかったらそのままゆっくり狙えばいい、と言われていて、そのタイミングを会得するのがこのオフシーズンにやっていることです。代表でもシューティングはすごく意識しています。その点でも、上手くなっていると思います」

こうしてレベルアップを続ける宇都は、日本代表でも力になるはず。「まだ気が緩められない状況が続く中、今回少しの間にいろんなことがバスケット界に起きましたけど、そこで信頼回復するにはまず、日本代表が一生懸命戦って、勝つことです。自分が選ばれるかどうか分かりませんけど、選ばれても選ばれなくても、日本代表を背負っていると言われる選手はそこを意識しなきゃいけないです。だから僕も、また一生懸命やっていくつもりです」