川崎ブレイブサンダース

文・写真=鈴木栄一

ファジーカスが獲得を後押しした2人

新シーズンの優勝候補筆頭に挙げられている川崎ブレイブサンダースが、新外国人選手の2人、バーノン・マクリン、シェーン・エドワーズの加入を発表した。Bリーグはレギュレーション改正により、帰化選手がオン・ザ・コートの制限に関係なく、日本人と同じように起用できるようになった。川崎ではリーグ最強ビッグマンのニック・ファジーカスが帰化選手となっており、この変更の恩恵を最も受けるチームとなっている。ファジーカスと外国籍選手2人が同時にプレーできるという面でも、川崎がどんな選手を選ぶのかは興味深かった。

川崎の北卓也ヘッドコーチは、外国籍選手2人にマクリンとエドワーズを選択した理由をこう語る。「ルールが変わり、ニックが帰化選手となる中でもビッグマンが1人は必要です。そしてインサイドもできて、アウトサイドもできるオールラウンダー的な選手を1人探していました。3人を同時に出せる強みがありますので、アウトサイドでのプレーに優れた選手も入ればうまく機能できると考えました」

北ヘッドコーチが言うビッグマンとは208cmのマクリン、オールラウンダーは201cmのエドワーズだ。実質オン・ザ・コート「3」のラインアップになった時は、ファジーカスとマクリンが4番と5番となり、エドワーズが3番を務めることになる。

ただ、ファジーカスが足首のケガで離脱しており、まだ3人揃っての練習をやっていないことからも指揮官は「3人の同時起用が機能するかどうかはまだ何とも言えないです」と、慎重な姿勢を崩すことはない。現状では、ここぞの場面で使うオプションというより、あくまで選択肢の一つでしかないのかもしれない。

バーノン・マクリン

マクリン「ブロックやダンクでチームにエナジーを」

2人とも今回が初めての日本となるが、マクリンは「韓国のチームにいた昨シーズン、日本に15日くらい滞在していたので知っていた」とある程度の予備知識はあった模様だ。一方、エドワーズは「日本は初めてで、新しい経験」と言いつつも「みんな親切で、これからのことを楽しみにしている」と、スムーズに適応しつつある。

プレースタイルでいうと、マクリンはゴール下でのパワフルなプレーを持ち味とする、5番もできる4番、エドワーズはゴール下への鋭いドライブと外角シュートを持った3番もできる4番といったところ。そして2人とも「自分が良いチームメートであるところを見せたい」と強調するのは協調性と献身的な部分だ。

その上でマクリンは「ブロックやダンクを決めてエナジーを与える。そしてチームメートを鼓舞するところを見てほしい」と言い、エドワーズは「自分はハードワーカーで、チームに貢献して良い結果を残せるよう頑張りたい」と続ける。

エースのファジーカスとは2人とも面識がある。マクリンはもともと共通の友人を持つ知り合いで、川崎入団に当たっては「ニックからいろいろ教えてもらった。川崎についてはポシティブなことしか聞いていない。彼が言うなら間違いないと思った」と振り返る。

シェーン・エドワーズ

エドワーズはアリゾナでファジーカスと対面

エドワーズは先月、アリゾナ州フェニックスでリハビリをしていたファジーカスと対面しており、「川崎は素晴らしい場所と言っていた」と、マクリンの時と同じく猛烈なプッシュを受けたようだ。ちなみに日本食では寿司が好きと言うエドワーズに対し、ファジーカスは自宅に近い回転寿司のお店を教えたそうだ。この2人の加入には、敏腕リクルーターとしてファジーカスの貢献もあった様子だ。

また、現役のBリーガーで言うと、マクリンは新潟のダバンテ・ガードナーと、エドワーズは千葉のギャビン・エドワーズと友人関係にある。エドワーズはこの夏に、ギャビンとアリゾナで一緒にトレーニングを行っていた間柄で、「彼も日本については良いことしか言っていなかった」と言う。

今週末のアーリーカップが、2人にとってのデビュー戦となる。「とにかくファンの前でプレーするのをとても楽しみにしていて、ワクワクしている」とマクリンは語る。日本代表に複数の選手を招集されることで、かなり少ない人数で大会に挑む可能性のある川崎であるが、だからこそ2人のプレーを存分に見られるとも考えられる。川崎のリーグ制覇に向け、間違いなく鍵を握る存在となってくる彼らが、どんなプレーを実際に見せてくれるのかファンならずとも注目したい。