スティーブン・アダムス

『グリッド&グラインド』を体現できるセンター

サンダーで7シーズンを過ごし、昨シーズンはペリカンズでプレーしたスティーブン・アダムスは今オフにグリズリーズに移籍した。

アダムスはシュートを得意とし、スペースを広げるような現代型センターではなく、強靭な肉体を武器に主戦場のインサイドで身体を張る『ファイタータイプ』のセンターだ。

サンダー時代にはラッセル・ウェストブルックの強引な突破をよくフォローし、ファンの間で『シュートミスはアダムスへのパス』と言われたこともあるように、ペイント付近でのアダムスの存在感は大きい。また、合わせを得意とするアンセルフィッシュなアダムスは、突破力に優れアシスト能力も高いジャ・モラントとの相性も抜群なはずだ。

若きエースのモラントを助けることができるアダムスの加入はファンにとっても喜ばしいことだろう。しかし、アダムスは度々グリズリーズのホームでブーイングを受けることがあった。そのため「僕のここでの評判は良くない」と『DailyMemphian』に語り、「なぜなら、ルーキーの時にZ-Bo(ザック・ランドルフ)が僕の顔にパンチを見舞い、そのせいで彼らは第7戦を落としてしまったからね」とその理由も明かした。

アダムスが挙げたその試合は2014年のプレーオフファーストラウンド、サンダーvsグリズリーズ第6戦のことを指す。グリズリーズは3勝2敗でシリーズ突破に王手をかけていたが、この第6戦を落とし、ランドルフの欠場が響いて運命の『GAME7』も敗れた。アダムスがブーイングを浴びせられるのは、ランドルフが欠場する要因を作ったことに起因する。

このシリーズは4試合連続でオーバータイムに突入する激戦となり、アダムスも当時のことを鮮明に覚えているようだ。「あのバトルのことはよく覚えているよ。なぜなら、彼らは本当に根性のあるチームだったからね。サンダーもグリズリーズもへこたれないチームだった。グリズリーズは昔ながらの気骨があるチームとして知られていたけど、対戦して彼らの文化が分かった。僕もその一部になったから、どのようなものになるか見ないといけないね」

アダムスが言うように、当時のグリズリーズは『グリッド&グラインド』と呼ばれるハードなディフェンスが主体のチームで黄金期を作った。マルク・ガソルやマイク・コンリー、トニー・アレンやランドルフがいなくなり、モラントを中心とする若いチームとなったが、昨シーズンはプレーイン・トーナメントを勝ち抜き、プレーオフに進出するなど上位進出を狙えるチームとなっている。

『グリッド&グラインド』から脱却したが、アダムスはその古き良きスタイルを再び注入し、ハイブリッドなチームへと昇華させてくれる存在となるかもしれない。