パスカル・シアカム

「僕はオールスターになって、MVPになる」

ニック・ナースと衝突したのを機に、パスカル・シアカムとラプターズの関係にはヒビが入っていると言われ、トレードの噂がつきまとうオフとなった。しかし、具体的な動きは何も起こっていない。シアカムにとってはカイル・ラウリーの退団によりチームで一番の高給取りとなったことが負担となり、少しでもチームにフィットしない兆候があればトレードの噂になる。5月に肩を痛めて人生初の手術を経験し、今はそのリハビリ中のシアカムが、自分とラプターズを取り巻く状況をどう眺めているのか、『The New York Times』に語っている。

シーズン開幕には間に合わないとされている肩のケガについて、シアカムは「僕にとっては初めての手術で大変だったけど、思ったよりも悪くない。今はシュートもハンドリングの練習もできている」と説明し、移籍市場について語り始めた。

彼にとっては2018-19シーズンにNBA優勝を果たしてMIPを受賞し、マックス契約を結んだ後、チーム内でより大きな責任を担うことが重荷になった。これまでと変わらず勝利のためにプレーしていても、負けた時にメディアやファンから批判されるようになったことだ。

「僕はプライドが高く、常に最高の選手でありたいと思っている。でも『バブル』の時に『父親は君を誇りに思ってない』などと言われると傷付いた。僕はSNSを使わないから直接は見ないけど、知りたくなくても耳に入ってくる。人種差別的なコメントも悲しかった。自分に対して否定的な意見があると知ればストレスを感じる。僕がどこから来て、これまでのキャリアで一つずつ何を達成してきたかを知らない人たちに批判されると『やれやれ』と思う。どれだけ大変な思いをしていても、そういう受け止め方をされるんだな、って」

その一方で、移籍の噂については気にしていないと言う。「ナースと口論したのは本当だ。チームに貢献したいと思っていたのにプレータイムがもらえなくて、彼に対してかなり汚い言葉も使った。勝てない時期でみんなイライラしていたんだ。でも、たった一回きりのこと。その後すぐに話し合いの場をちゃんと持って、終わりにした話だよ」

「ウォリアーズが、キングスが僕の獲得に興味を持っているというニュースが出ても気にしない。ラプターズが僕を放出したがっている、であれば話は別だけど、そうじゃないからね。僕自身は、ラプターズで長くプレーするものだと思っているよ」

それと同時に、自分自身が精神的に一つステップアップしなければいけないことも感じている。彼に覚悟を決めさせたのはラウリーの退団だった。「予想はしていた。デマー(デローザン)とカイルはルーキーだった頃から尊敬していた選手であり、兄のような存在だった。カイルのいないチームは想像ができないけど、『でも、カイルはもういないんだ』と時々自分に言い聞かせている。これまではチームがどうしたいのか、なんて話を僕がメディアに答える必要はなかった。それはカイルの役割だったからね。でも、これからは僕がやらなきゃいけない」

「今も彼とはよく話すし、メールもしている。カイルは僕に『これはお前のチームだ。俺たちがやったように一歩踏み出して、やってやれ。お前のことを愛しているし、見守っているから頑張れ』と言う。『試合で会う時にはボコボコにしてやるけどな』ともね(笑)」

戦線復帰は少し先になるだろうが、シアカムには自分がラプターズを背負って戦う新たな姿がイメージできている。「リハビリは順調だけど、コロナに感染してしまって9kg痩せた。大変だったけど、もう大丈夫だ。ここからは良くなっていくだけだ。僕はオールスターになって、MVPになる。その夢を実現するにはまだまだ成長しないといけないね」