NCAAに競技エントリーを認められ、今秋にデビューの予定
JR・スミスは高校時代から活躍した早熟のエリートだった。2004年のマクドナルド・オールアメリカンゲームでドワイト・ハワードとともにMVPに選ばれると、予定していたノースカロライナ大への進学を取りやめてNBAドラフトへのアーリーエントリーを選択。1巡目18位指名を受けてニューオリンズ・ホーネッツと契約を結んだ。
それから16年、スミスはホーネッツ、ナゲッツ、ニックス、キャバリアーズでキャリアを築いていく。ベテランになって身体能力で勝負することはできなくなっても、抜け目なくチャンスを呼び込んでビッグショットを決めるシューターとして活躍し続けた。
それでも、限界はやって来る。2018年、ウォリアーズとのNBAファイナル第1戦で、試合終了間際に点差を勘違いし逆転のチャンスを逃すという世紀の『凡ミス』は、彼のキャリアを下り坂に向かわせた。レブロン不在となった翌シーズンにインパクトを残せずキャブズを離れ、2019-20シーズン終盤にレイカーズに加わってレブロンとともに2度目のNBA優勝を勝ち取ったが、昨シーズンはどのチームとも契約しないままだった。
そして彼は、ノースカロライナA&T大でゴルフをすることを決めた。NCAAの規約では、プロチームでの競技経験のある者は、そのスポーツの大学競技への参加資格がない。だが、スミスがプロとしてプレーしたのはバスケットボールであり、今回はゴルフをプレーしようとしている。1週間前、NCAAは彼の競技エントリーを認めた。
そのスミスは2004年以来の学生生活を楽しんでいる。彼はSNSでの複数の投稿で、その心境を明かしている。
「これまで学業に戻りたいと思ったことは一度もなかった。子供の頃から勉強が嫌いだったから、教室で学ぶのは大変だ。最初の1週間は、自分があまりにできなくてガッカリした。僕が今やらないといけないのは、もっと上手にメモを取ること。何が重要なのかを判断してノートに書かなきゃいけないけど、授業のすべてが重要に思えるから難しいんだ」
「でも落胆せず、人生で訪れる新たな挑戦に腰を据えて立ち向かうつもりだ。やっていくうちに、もっと学びたい、このライフスタイルをモノにしたいと思うようになっている。朝5時起きで課題に向き合っているよ。1週間ダメだっただけで学期すべてがダメになることはない。靴を履いて顔を上げて、取り組むんだ」
ノースカロライナA&T大のゴルフのシーズンは9月末に開幕する。勉強はともかく、ゴルフについては「楽しくなりそうだ」と全く心配していない。「2万人の観客の前でプレーするのと、大学でゴルフをやるのとでは環境が大違いだ。でも、30人が見ている前で5フィートのパットを打つのも、同じぐらい気を遣う。すべては同じようなものさ」
「これまでに経験したことがないようなワクワク感がある。本当にどうなるか分からなかったからね。でも、僕は大学生になることができた。学業に再び取り組み、同時にゴルフもやる。勉強でもスポーツでも良い成績を収めたいね」