文=鈴木健一郎 写真=三上太

地上波中継の終了とともに、観戦チケットが飛ぶように売れた

Bリーグの記念すべき『開幕2Days』が終わった。22日の地上波生中継の視聴率が振るわなかったことで、「失敗だったのでは」と危惧する声もあるのかもしれないが、決してそうではない。代々木第一体育館は2日間ともチケット完売。木曜は9132人、金曜は9461人の観客が『夢のアリーナ』での全く新しいスポーツ観戦を体験し、100%に近いその大多数が、満足して(少なくとも感心して)会場を後にしたはずだ。

フジテレビ系列の生中継にしても、首都圏での視聴率は目標に達しなかったにせよ、全国に大きなプラス効果をもたらしたと言える。明日開幕を迎える各クラブが、今日になって軒並みチケット完売を発表しているのだ。

大阪エヴェッサの担当者に聞いたところ、昨日の試合放送終了後、明日と明後日の開幕カードのチケットが「今までにない、圧倒的な勢いで売れた」とのこと。明日のホーム開幕戦は指定席がすでに完売しており、残るは当日売りにあてられている自由席のみ。日曜の試合も指定席は残りわずかとなっている。

これは大阪に限った話ではない。名古屋ダイヤモンドドルフィンズは明日のチケットが全席完売となったことを発表した。滋賀レイクスターズもTwitterで「指定席完売間近」の情報を出している。新しいリーグの開幕ということで、チケットの売れ行きはそれなりに好調だったが、ここに来て地上波中継での『歴史的開幕戦』が従来のバスケファンではない新しい層にリーチして、大きな波を作り出したということだ。

木曜の開幕戦、試合前に『LINE LIVE』で放送されたBリーグ開幕特番は延べ視聴者数で約300万人を記録した。B1とB2の全試合中継を行う『スポナビライブ』のユーザーも大幅に増えていると思われる。

『スポナビライブ』は第1節全試合を無料開放中。加入者数は明らかになっていないが、『App Store』の無料アプリランキングで、木曜夜に総合8位にランクインし、金曜夜には6位にまで浮上した。総合ランキングの1桁は、スポーツのジャンルではなかなか足を踏み入れられない場所のはずだ。地上波やBSで木曜の開幕戦を見た人が、金曜の試合、そしてこの週末の試合を『スポナビライブ』で見る流れができている、と見ていいだろう。

木曜夜の段階で、Twitterのトレンドの2位にBリーグが入った、さらにはYahoo!の『リアルタイム検索で話題のキーワード』のトップ20のうち19ワードがBリーグ関連で占められたというのだから驚きだ。

『開幕2Days』はBリーグ側が狙ったとおり、新しいバスケットボールリーグのデモンストレーションとして十分な働きをした。これからは各クラブが興行として、Bリーグを成功に導く番だ。明日、試合が行われる8つの会場がどれだけの観客を集めるのか。バスケットボールの質はもちろんだが、観客動員が大いに気になるところだ。