車いすバスケ男子日本代表

最大11点のビハインドを背負う

東京パラリンピック、車いすバスケ男子日本代表は大会3戦目で、過去5大会中4大会でメダル獲得をしている強豪のカナダ代表と対戦した。

日本はカナダのエース、『車いすバスケット界のマイケル・ジョーダン』ことパトリック・アンダーソンに対し、プレッシャーを与えて簡単にシュートを打たせないディフェンスを行う。しかし、アンダーソンに意識が向き、他の選手に得点を許してしまう。さらに、なかなかディフェンスリバウンドを取ることができず、カナダにセカンドチャンスを与え、第1クォーターを6-12で終えた。

第2クォーターになって日本も反撃。アンダーソンをベンチに下げてオフェンスの起点が定まらなくなったカナダに対し、前からプレッシャーを与えてトランジションへと持ち込んで、残り6分には15-14と逆転に成功。しかし、コートに戻ってきたアンダーソンが本領を発揮し、日本のプレッシャーを物ともせずシュートを狙っていく。さらにディフェンスの隙を突いて、素早いチェアーさばきでゴール下に入り込み、確実に得点を重ねた。ゴール下を支配された日本は失点を止めることができず、19-30と大量リードを許して前半を終えた。

19-30で迎えた後半、日本は香西宏昭がミドルと3ポイントシュートを立て続けに決めると、その後は速攻も決まり7-0 のランで点差を縮めた。しかし、プレッシャーをかけたディフェンスを行うがゆえにファウルがかさみ、28-35で迎えた残り5分半の時点で日本のチームファウルは5つに到達。日本はディフェンスからの素早いバスケを行い主導権を握るが、カナダにフリースローを与えてしまいなかなか1ポゼッション差から詰めることができない。

そして38-44で迎えた最終クォーター。この試合で14得点を挙げた古澤拓也が、スクリーンを使ってフリーでのシュートチャンスを生かして得点を重ねていくと、残り8分半にはカナダからアンスポーツマンライクファウルを誘発。このファウルで得たポゼッションでも左サイドからのミドルシュートを古澤が決めて、ついに46-46と同点に追いついた。

この後は、一進一退の攻防が続いたが、日本は高さがある秋田啓がアンダーソンに対して、オフボールでも激しくマークにつくことで、体力を消耗させ、ボールを持たせない。残り5分、香西が厳しいマークを受けながらも3ポイントシュートを沈めて54-52と、ついに逆転に成功した。

その後も日本はアンダーソンと、もう一人の得点源であるニコラ・ゴンシンをペイントエリアに入れないディフェンスを遂行し、最後までリードを守り切って62-56での逆転勝利を収めた。日本はほとんどの時間帯でカナダにリードを許し、最大11点のビハインドを背負っていたが、プレッシャーディフェンスを貫くことで勝利をつかんだ。

この試合で、香西は3ポイントシュート4本成功を含むゲームハイの24得点と6リバウンド5アシストを記録した。それでも試合後のインタビューでは「チーム全員で勝ち取った勝利です」と語り、「プレーに集中していて、次に次にと思ってやっていて、たまたま(シュートが)入りました。みんなで作り上げたオフェンスとディフェンスなので、シュートが入って良かったですが、みんなで勝ち取ったものです」とチーム一丸でつかんだ勝利だと強調した。

これで日本は予選リーグ3連勝となり、準々決勝進出を決めた。明日はスペイン代表と対戦する。