クリス・ポール

「コーチがチームをしっかり機能させられているかが大事」

クリス・ポールはこの夏にサンズとの4年1億2000万ドル(約130億円)に契約延長に合意した。この契約を全うすれば、ポールは40歳までサンズでプレーすることになる。

2010-11シーズンから10シーズン連続でプレーオフ進出を逃し、長い低迷機を抜け出せずにいたサンズだったが、2019-20シーズンは『バブル』8連勝でシーズンを締めくくり、低迷脱出を予感させた。そして、昨夏に加入したポールが若いチームを引っ張り、昨シーズンは11年ぶりのプレーオフ進出、1993年以来となるNBAファイナル進出を果たした。

ポールにとってサンズはキャリア5つ目の球団であり、キャリア16年目にして初めてファイナル進出を果たしたチームになる。しかし、ポールが加入した時点でのサンズの前評判は『飛躍の予感がする』程度で、ファイナル進出を予想した人は多くなかっただろう。

サンズとの延長契約を締結後、ポットキャスト番組『No Chill with Gilbert Arenas』に出演したポールは、昨夏にサンズ加入を決めた理由を語った。

その中でも大きな決め手となったのが、指揮官のモンティ・ウィリアムスの存在だという。ポールは「僕がフェニックスに行こうと思った時、周りの人たちは僕の考えを知らなかっただろうね」と言うと、2010-11シーズンにホーネッツでウィリアムスの下でプレーした時に、ウィリアムスが重視すること、ディフェンスのルール、チームの規律に共感したことを語った。

「モンティとはすでに知り合いだったし、彼の考え方もチームの作り方も分かっていた。つまり、これは試合に向けてどういう準備をするかということ。僕たちはゲームのラスト1、2分間で、コーチがどういう指示をしてくれるかを知りたい。それだけじゃないよ。コーチがチームをしっかり機能させられているか、ディフェンスではどんなルールを設けているのかが大事なんだ」

「僕がモンティの下でプレーした年、つまりホーネッツでの最後の年だね。あの時は、僕、(デビッド)ウェスト、マルコ・ベリネリ、カール・ランドリー、エメカ・オカフォー、トレバー・アリーザというメンバーで、ビッグネームはいなかったけど、11勝1敗でシーズンをスタートした。きっとそのことは、みんな知らないだろうけどね。でも、あの時の僕たちは全員が自分の役割をしっかり理解していたし、僕たちには絶対のルールがあったんだ」

また、ポールはウィリアムスだけでなく、この夏に23歳になったばかりのディアンドレ・エイトンとの出来事も明かした。ポールは、2018年のドラフト全体1位指名のエイトンに対して厳しく、事細かにアドバイスを送っていたという。エイトン自身も「CP(ポール)は兄貴のような存在で、自分をプッシュしてくれる唯一の存在。彼と一緒にやれているのは、自分のキャリアにとって最高のこと」と、昨シーズン中に語っていた。

しかし、加入当初は大ゲンカをしたこともあったとポールは言う。「僕たちは持っているものを構築させていく必要がある。僕とディアンドレ・エイトンは、シーズンの初めにものすごい勢いでケンカをしたんだ。僕は彼に厳しくした。僕は負け犬じゃないからね。あの時、僕が伝えたかったことは『道は必ず見つかる』ということ。ただ、それは僕にとってもすごく難しいことでもある。もし、『負けても構わない』なんて姿勢を見せたら、本当の意味での負け犬を見せてやろうと思っていたよ。でも、僕は負けても平気な人間じゃないし、これからもそうなるつもりはないよ」