「自分の次の成長を考えた場合、ここがベストだと考えた」
どんな選手であれタイトルを目指すものだが、優勝できるのは30チームで1つだけ。自分が活躍すれば優勝に手が届くほど簡単なものではなく、オールスター選手でも優勝に縁がないケースは少なくない。
そんなNBAで近年流行っているのは、実力あるベテランが収入を犠牲にしてでもタイトルのために優勝争いのできるチームに加わることだ。今オフには37歳のカーメロ・アンソニーが盟友レブロン・ジェームズとともに優勝を手にするべくレイカーズ入りを決断。36歳のトレバー・アリーザ、35歳のドワイト・ハワード、33歳のウェイン・エリントン、32歳のケント・ベイズモアも同じ選択でレイカーズへとやってきた。十分な実績を持ち、まだまだ働ける戦力が最低保証額で獲得できるのだから、レイカーズにとっては非常に良い補強となっている。
マリク・モンクは年俸180万ドル(約2億円)の1年契約を結んだ。昨シーズンにホーネッツで得ていた約3分の1しかない年俸を受け入れて、彼はレイカーズにやって来た。
モンクは2017年の1巡目11位指名を受けてホーネッツに加わり、4シーズン常にローテーションの一角としてプレーしてきた。昨シーズンには新人王となったラメロ・ボールの加入もあり、テリー・ロジアーやデボンテ・グラハムも含めて層の厚くなったバックコート陣でもプレータイムを確保し、20.9分の出場でキャリアハイの平均11.7得点を記録している。
ホーネッツはガードが多すぎたために彼をフリーエージェントにしたが、これまでより高い年俸を支払ってでも彼を獲得したいと思うチームはいくらでもあったはず。だがモンクはキャリア晩年のベテランのように、格安の金額でレイカーズを選んだ。
この決断について、モンクはこう説明する。「僕は毎年確実に成長することを目標としている。毎試合でベストを出しきって、シーズンが終わった時に振り返って自分の成長ぶりを総合的にチェックするんだ。そして今回、自分の次の成長を考えた場合、ここに来ることがベストだと考えた」
若手主体のホーネッツからベテランが揃うレイカーズへ。環境が変わることで、彼の成長にも変化が出てくるはずだ。「レブロン、AD(アンソニー・デイビス)、ラッセル(ウェストブルック)。それにカーメロもドワイトも、このチームの全員から僕は多くを学ぶことができる。みんな、23歳の僕よりずっと長くNBAでプレーしているよね。プレーのことはもちろん、プロとしてどうあるべきか、バスケへの取り組み方、賢く働く方法、そして『男としてのあり方』も。僕は大人の男だけど、まだ23歳でそれを学んでいるところだ。たくさん質問して、たくさん学ぶつもりだよ」
現時点での彼は貴重なローテーションプレーヤーではあるが、大きくアピールできる実績はない。だからホーネッツに簡単に手放されてしまった。モンクが考えるのは、この1年で学べることをすべて学び、自身の価値を高めて来年オフのフリーエージェントに打って出ることだ。スター選手をさらに輝かせることのできる選手、という価値を自分に付けることができれば、今オフに得られるよりもずっと良い契約を得られるはず。上手くいけば『NBA優勝』の実績も付く。
NBAで4シーズンの実績があり、なおかつ23歳とまだ伸びしろも残している。成長と成功への意欲が人一倍強いモンクがレイカーズに加わることで、どんな化学変化が起こるのか。1年後に振り返った時にどれだけ成長しているのかが楽しみだ。