ラウリ・マルカネン

新体制で信頼を得られずにスタメン出場の機会が半減

フリーエージェント市場が終わりに近づいている今、制限付きフリーエージェントのラウリ・マルカネンには動きがない。900万ドル(約10億円)のマッチング権をブルズが持っているが、これまで動きがないということは、他のどのチームも彼にそれだけの価値がないと考えているからだ。マルカネンがその状況にストレスを感じているのは間違いない。

2017年の1巡目7位指名を受けたマルカネンは、ブルズで4シーズンを過ごした。問題は、4年目の昨シーズンになって評価を落としたことだ。ビリー・ドノバンをヘッドコーチとする新体制になってスタメンの機会は半減し、プレータイムも減少。チーム内で与えられる役割もグレードダウンした。213cmのサイズを持ちながら3ポイントシュートを打てる選手として市場価値は高かったはずだが、ブルズでの地位が下がったことで彼自身のプレーヤーとしての価値も下がってしまった。

プレータイムを減らしたこの1年間で、サイズはあるがペイントエリアを守ることができないディフェンスとリバウンドの弱さを指摘されることが増えた。3ポイントシュート成功率はキャリア4年目で初めて40%を超えたが、「自分で動き回ってチャンスを作ることができない」という課題も出ている。かくして、具体的な動きが何も出ないまま時間ばかりが過ぎている。

指揮官ドノバンは昨シーズン最後の会見でマルカネンについて、信頼を失ったのではなく「役割が変わっただけだ」と強調し、その去就に関する質問にこう答えている。「フロントとは何も話していないが、私はラウリのことを素晴らしい選手だと思っている。一人の人間としても素晴らしい。チームのために多くのことを犠牲にしてきた」

それでも、彼をメインから外したのは他ならぬドノバンであり、ニコラ・ブーチェビッチをマジックから獲得して以降、その流れは明らかに強くなった。マルカネンも自分が冷遇されていると感じているからだろう、母国フィンランドのメディアでは「別のチームで再スタートしたい」と繰り返し発言している。

しかし、オファーが来ない以上はマルカネンにできることは多くない。そしてブルズも、自分たちに不利な内容で彼をトレードに出す必要はなく、手元に残しておく考えのようだ。昨シーズン程度のパフォーマンスであっても、NBAのローテーションプレーヤーとしては平均的な年俸900万ドルで手堅く働いてくれれば及第点だし、ブルズでの扱いに失望していても次に良い契約を勝ち取ることを考えればモチベーションには事欠かない。マルカネンもブルズも『ビジネス』と割り切ってベストを尽くせば、互いにとってメリットになる。

サンダーを長く率いたドノバンは、コート上ですべてを出し尽くして戦う選手を好む。ブーチェビッチはそのタイプで、それに比べるとマルカネンは少々スマートすぎた。ただ、マルカネンの得点力は今も変わらず価値がある。チーム自体のディフェンスが弱かった昨シーズンはマルカネンの守備の弱さが際立ってしまったが、ロンゾ・ボールやアレックス・カルーソのようなヘルプディフェンスに優れた選手と一緒にプレーすることで弱点が覆い隠され、良いパフォーマンスを取り戻す可能性もある。

制限付きフリーエージェントだからと言って、すぐに移籍する必要はない。マルカネンに焦りはあるだろうが、市場の動きを見て賢く立ち回るべきだ。契約最終年を迎える選手にとっての『賢い立ち回り』とは、誰をも納得させる結果を出すことに他ならない。