文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

終盤に琉球ゴールデンキングスが追い上げるも及ばず

『歴史的開幕戦』と呼ぶに相応しい試合だったのではないだろうか。代々木第一体育館で行われたアルバルク東京と琉球ゴールデンキングスのBリーグ開幕戦は、白熱した展開となったが、立ち上がりからほとんどの時間でリードを守ったアルバルク東京が80-75で勝利した。

序盤はアルバルク東京の展開。激しいディフェンスが機能し相手に自由を与えず、内と外とのバランスの良い攻めでリードを広げていく。その後、ビッグマンの波多野和也がペイント内で踏ん張ったことで琉球ゴールデンキングスが立て直し、一進一退の攻防に。

後半に入ってアルバルク東京が3ポイントシュート攻勢で突き放し、一時は15点差を付けるも、琉球ゴールデンキングスはあきらめずに追い上げる。第4クォーター、シュートがこぼれたところを琉球ゴールデンキングスの攻守の要であるアンソニー・マクヘンリーがダンクで叩き込んで72-63と差を1桁とする。

残り5分を切ってから、それまで満足にシュートを打たせてもらえなかった岸本隆一が3ポイントシュートを沈め、68-72。なおも追い上げる琉球ゴールデンキングスは、残り1分半に喜多川修平が3ポイントシュートを決めて75-78、ついにワンポゼッションにまで詰め寄る。

2000人以上が沖縄からやって来たと言われる琉球ゴールデンキングスのブースターは沸きに沸き、アリーナの雰囲気は最高潮に。ところがここで、強引なまでの攻めを次々と成功させてきた琉球ゴールデンキングスの勢いは、岸本のトラベリングで削がれてしまう。

相手の猛追に固くなってしまっていたアルバルク東京はこれで冷静さを取り戻し、相手の仕掛けるファウルゲームも乗り切って時計を進めて勝利した。

勝因は「ディフェンスで相手を勢いに乗らせなかったこと」

伊藤拓摩ヘッドコーチは「最初だけじゃなく、どんどん激しく行くディフェンスで、勢いに乗せると怖い琉球ゴールデンキングスを押さえ、こちらが点を取ってリードを広げたこと」と勝因を語る。終盤に追い上げられたことについては「バスケットボールではよくあることです。負けている側が思い切ったプレーをして、それが当たりました」と説明した。

エースの田中大貴も、きっちりと勝利を収めたことに加え、自身の貢献ぶりにも満足した様子。「岸本(隆一)選手をしっかりとマークして、シュートを打たせなかった」とまずはディフェンスを語り、終盤の苦しい時間帯に決めた3ポイントシュートについては「オープンになっていたので思い切って打ちました。あれで落ち着くことができました」と振り返った。

敗れた琉球ゴールデンキングスの伊佐勉ヘッドコーチは「悔しいです」と敗戦を振り返りながらも、「見応えのあるバスケをお見せできた。この試合はクラブにとっても大事だった」と胸を張った。

明日は開幕2Daysの2日目。同じくアルバルク東京と琉球ゴールデンキングスの一戦が19時から行われる。連戦の中で今日見つかった課題や相手の対応にどれだけアジャストできるかが勝敗を分けるカギになりそうだ。