優勝候補のクリッパーズから万年下位のウルブズへ、33歳になったパトリック・ベバリーが迎える『正念場のシーズン』

優勝候補のクリッパーズから万年下位のウルブズへ、33歳になったパトリック・ベバリーが迎える『正念場のシーズン』

2021/08/18 11:30
パトリック・ベバリー

フアンチョ・エルナンゴメスとジャレット・カルバーとのトレードが成立

パトリック・ベバリーは4シーズン在籍したクリッパーズからグリズリーズにトレードされ、その2日後にはティンバーウルブズへとトレードされた。グリズリーズは最初から彼をトレードするつもりだったようだが、ウルブズは彼を戦力と見なしている。

ウルブズはフアンチョ・エルナンゴメスとジャレット・カルバーを交換材料として、ベバリーを獲得した。2019年のドラフト1巡目6位指名選手のカルバーを2シーズンで手放すのは、フロントの見立てが甘かったことを認めることになる。NBAキャリア6年目を迎えるエルナンゴメスはカルバー以上に実績のあるビッグマンだが、肩のケガを抱えた状態でスペイン代表に合流しようとした彼に、ウルブズは治療に専念するように指示。ここから感情の行き違いが生まれ、トレードに至ったとされる。

ケガがなければローテーションに入る戦力として計算でき、年齢的にこれからピークを迎える2人を手放すのは惜しい。それでも、低迷が続いて毎年のように上位指名の若手が加わるウルブズには『発展途上』のタレントが数多くいる。ロスター枠にもプレータイムにも限りがある以上、ある程度は覚悟の上で余剰戦力をトレードに出すしかない。逆に言えば、ベバリーのようにチームの核になれる選手、今のウルブズに欠けている要素を埋める選手を獲得できるチャンスを逃すべきではない。

しつこいディフェンス、ボールと勝利への執着心が人一倍強いベバリーのプレースタイルは、スター選手の多いクリッパーズだからこそ際立っていた。勝利への意識をむき出しにし、泥臭いプレーを貫くことでクリッパーズのファンから愛されていたが、昨シーズンはケガで欠場が重なり、その間にレジー・ジャクソンにポジションを奪われて放出された形となった。

それでも、ベバリーの選手としての本質的な価値が下がったわけではない。あるとしたら、プレーオフ最後の試合でクリス・ポールを突き飛ばしてしまい、出場停止が新シーズンに持ち越されることぐらい。ウルブズは若いチームで、タレントは揃っているがディフェンスとリーダーシップを欠く。ベバリーはここを補い、低迷続きのチームに喝を入れる存在として期待される。

ベバリーはクリッパーズの指揮官ドック・リバースから「すべての若い選手はベバリーのバスケへの向き合い方を見て学ぶべきだ」と評された選手。特にディフェンスは身体能力だけでできるものではなく、NBAに入ってから学んで向上していくもので、ウルブズの若い選手たちがベバリーから学ぶことは多い。

だがもう一つの見方をすれば、ベバリーは『崖っぷち』に立たされている。優勝候補のクリッパーズで存在感を見せていたにもかかわらずトレードに出され、プレーオフ進出の力があり、若いチームでもあるグリズリーズからも必要とされなかった。あっという間の連続トレードを経てたどり着いたのは、過去17シーズンでプレーオフ進出わずか1回のウルブズ。若いタレントは多いが、プレーオフ進出も相当に困難と言わざるを得ないチームだ。

現在33歳のベバリーの契約は来シーズン限り。ウルブズで結果を出して来年オフのフリーエージェント市場で良い契約を勝ち取り、優勝争いのできるチームに舞い戻ることが彼個人の目標となる。それができなければウルブズの再生にキャリア晩年を捧げるか(トレードデッドラインで放出される可能性もある)、キャリアの最後に優勝を勝ち取りたいベテランが最低保証金額で強豪チームと契約する今のトレンドに加わることになる。

クリス・ポールのように大ベテランの年齢になっても周囲からリスペクトされ、良い契約を勝ち取る選手もいる。どの選手も現役を長く続け、そういったキャリア終盤を過ごしたいと願うもの。そういう意味でもウルブズで迎える新シーズンはベバリーにとって正念場で、これまでの経験と持てる力すべてを発揮する大事な1年となる。

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