サマーリーグ初戦で、どこからでも得点できる多彩さを見せる
ロケッツは昨シーズン開幕直後に『チームの顔』だったジェームズ・ハーデンがトレードを要求してネッツに去った。これを機に、長らく優勝候補の一角だったチームは空中分解。モチベーションをどこに見いだすか模索するベテランと、経験不足の若手はなかなか結果を出せず、前シーズンの44勝28敗から17勝55敗の最下位へと転落した。
しかし、シーズンが変わってロケッツは期待の持てる再建の第一歩を踏み出した。優勝を狙えるチームではなくなったが、ファンはチームの成長を見守る楽しみを持てる。その筆頭が、ドラフト1巡目2位指名でチームに加わったジェイレン・グリーンだ。現地8月8日、サマーリーグの初戦となったキャバリアーズ戦でグリーンはロケッツでのデビューを果たし、30分の出場で23得点5リバウンド2アシストを記録している。
そのインパクトは数字以上のものがあった。最初の得点はピック&ロールから抜け出して、相手のファウルを誘いながらミドルジャンパーを沈めたもの。ファストブレイクからプルアップの3ポイントシュートを沈めたかと思えば、ドライブでゴール下まで突破しての得点も決めた。ゴール下、ペリメーター、アウトサイドとすべてのエリアで得点できることを早々に示したのだ。
高校卒業時点での評価は全体1位でピストンズに指名されたケイド・カニングハムと変わらなかった。カニングハムがオクラホマ州立大で結果を残した一方で、グリーンは大学に進まずにGリーグのイグナイトで『NBA仕様』のバスケに順応した。それだけに彼は、先にNBAで活躍できるという自信を持っている。
「僕を指名したのは素晴らしい選択だったと、数年後に振り返られるようにしたい。ロケッツは才能あるチームだ。スピードがあって走れる選手が揃い、トランジションが多くてエキサイティングなオフェンスができる」とグリーンは語る。
23得点はイグナイトでの平均得点(17.9)を上回るもの。サマーリーグの初日でプレーしたルーキーの中で最も目立つ活躍だったと言える。ハーデンの穴を埋めるにはまだまだ多くの面で成長が必要だが、そう遠くない将来に『チームの顔』になれるであろう雰囲気は十分に感じさせた。
デビュー戦を終えたグリーンは「もっともっと良いプレーをたくさん見せられるよ」と、ここでも自信満々の発言をしている。さらにロケッツでは、全体16位指名のアルペレン・シェングンも15得点15リバウンド4ブロックと大活躍。多くの時間帯で全体3位指名のエバン・モブリーとマッチアップしながら、インパクトで上回った彼にもブレイクの気配が漂う。
ジェイレン・グリーンに次期エースの期待がかかるのはもちろん、ロケッツとしては一人でも多くの戦力がこのサマーリーグから出てきてほしいところ。残る試合にも期待が持てそうだが、まずは現地10日のピストンズ戦で実現するグリーンとカニングハムのドラフト1位、2位対決が楽しみだ。