女子アメリカ代表

スー・バードの引退は「渡嘉敷が戻って町田と組んだら厄介」だから?

バスケットボール女子の決勝、日本代表には大躍進の勢いがあったが、アメリカはそのバスケを完璧に封じ込める完璧な戦いぶりで金メダルを勝ち取った。日本を躍進に導く司令塔、町田瑠唯のアシストを消すために、町田にプレッシャーを掛けるのではなく、3ポイントシュートのない彼女をあえて空けて、スペースを狙おうとする選手の動きを徹底的にケアしてパスを封じた。町田のパスを失ったシューター陣には、それぞれマークを担当する選手がリーチの長さを生かして打たせない。日本の3ポイントシュートは31本中8本、成功率25.8%に抑え込まれた。

こうして日本の爆発力を封じて攻めに転じると、高さのない日本の弱点であるインサイドを徹底的に狙う。センターのブリトニー・グリナーはフィールドゴール18本中14本成功の30得点を挙げ、アジャ・ウィルソンが19得点、ブリアナ・スチュワートが14得点とウイング陣も得点を重ねた。

終始リードを奪う余裕の展開にも見えたが、グリナーは「アークの後ろからならどこでもシュートが打てるチームだから、決して動きを止めることができず、守るのは大変でした」と語る。「数ポゼッションで修正してくるから、守れている時間も安心はできなくて、勝っていても丁寧に自分たちのペースを保つ必要がありました」と、ディフェンスでは手を焼いたことを明かした。

ブリアナは「5人全員でプレーメークする日本のスタイルは、女子バスケの新しいトレンドになるかもしれない。今のバスケではシュートが苦手ではコートに立てないけど、日本は全員がシューターみたいにプレーする」と語る。

またダイアナ・トーラジは「このチームを応援せずにはいられません。見たいと思わせるスタイルを遂行して、一生懸命プレーしています。どんな時にも動じることなく、一丸となってプレーするチームを見るのは本当に楽しいものです」と、日本代表の戦いぶりを称賛している。

ダイアナ・トーラジ&スー・バード「

「今日のアリーナに3万人の観客がいなかったのはラッキーでした」

そしてスー・バード。アメリカ代表の『伝説のキャプテン』は、この大会を最後に代表を離れることを宣言しており、代表引退が大きな話題となったが、「私が引退するのは、タクが戻って来てルイと組んだら厄介だから、とよく冗談で言っています」とジョークを交えて日本代表について語った。タクとは、WNBAのシアトルストームで一緒にプレーした渡嘉敷来夢のことだ。

バードはこう続ける。「最初は良いポイントガードがいる、という印象だったのですが、その他にもたくさん良い選手がいました。タクがいればサイズやシュート力で、今の土台の上に全く別の層を作ってくれるでしょう。冗談ではなく、日本は40分間気の抜けない相手でした。ただ、彼女たちには拍手を送りたい。対戦するのは大変だけど、見ていてとても楽しいチームです」

ブリアナは今大会が無観客だったことに触れ、「無観客じゃなかったら、私たちは2回も日本と試合をしているから、大変なことになっていたでしょうね」と語る。トーラジも「今日のアリーナに3万人の観客がいなかったのは私たちにとってラッキーでした。ただ、観客がいても素晴らしい経験になっていたと思います」とコメントしている。

アメリカの完璧なディフェンスを崩すのは簡単ではないだろうが、観客がいて『ホームコートの雰囲気』の後押しを得られれば、何かが変わっていたのかもしれない。ただ、それは果たせなかった。日本はまたあらためて、世代交代するアメリカ代表に挑むことになる。

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