髙田真希

「本当に良い意味で楽しくバスケットができている」

ベルギーとの大激戦を制して準決勝進出を決めた直後、髙田真希は感情の高ぶりを隠さず「こみ上げるものがありました。今までに味わったことのない感覚でした」と語った。「みんながチームを信じて、仲間を信じてやり続けたことが逆転に繋がったと思います。それが日本の良さだと思うので、それを続けていきたい」

前半は日本が優勢だったものの、後半からはずっとベルギーにリードを許す展開。一気に突き放されてもおかしくない場面が何度もあったが、日本は崩れずに踏ん張り続け、どちらも消耗しきった終盤に相手が崩れたことで最後の最後に試合を引っくり返した。

「12点リードから追い付かれて点差を付けられたので苦しかったんですけど、ベンチに帰ってもコートにいても『絶対行ける、絶対行ける』と自分を含めてみんなが言い続けたことで、苦しい時間帯にコートに出ている人を奮い立たせられた結果だと思います。苦しかったですけど、今日は戦術とか技術じゃなく、気持ちで勝てた試合だと思います」

髙田は36分半の出場で19得点を挙げているが、数字以上にインサイドを支えるディフェンスの中心として、また耐え続ける精神的強さの象徴としての存在感が光った。逆転されて迎えたハーフタイムには5人全員でリバウンドを取ることを徹底しようと声を掛けた。「自分が言うことに対してみんなが表現してくれました。あとは『頑張ろう』、『我慢しよう』を言い続けました」

頑張る、我慢する。言葉で言うのは簡単だが、苦しい時間帯が続く中でやり続けるのは簡単ではない。それを言うならベルギーも、粘り続ける日本の頭を押さえ続け、後半には最後の16秒までリードを許さない、素晴らしい戦いぶりを見せていた。それでも日本が上回った理由は何だろうか。髙田は「多分ですけど、ここにプレッシャーを感じていたり緊張している選手は誰一人いないと思います。そこが今は自分たちの強みであり、本当に良い意味で楽しくバスケットができているっていうのがこの結果を生んでいるんじゃないのかなって思います」と言う。

「簡単に言うと『やる時にやる集団』。そこがこのチームの良いところですし、今のチームの雰囲気もすごく良いです。やる時はやる、その切り替えがこの結果を生んでいるんじゃないかなと思います」

髙田真希

「次も日本らしいバスケットをやり通して、チームメートを信じて」

インサイドでともに戦ってきた渡嘉敷来夢が膝のケガでオリンピックを欠場。エース不在ながら日本代表は破竹の快進撃を続けている。「今回は最初から渡嘉敷がいない中で作り上げたので、そこへの固執はあまりなくて。ただ身長で劣る分、全員でやらなきゃいけない、ディフェンスもオフェンスも全員でやらなきゃいけないのが自分たちの今のスタイルです。そこは今あまり思うことはないですし、準備は100%できたと思います。ただ、試合で100%はまだ出せていないので、まだまだ完成ではないです」と髙田は言う。

エース不在で不利は否めない状況で迎えた大会だったが、バスケットボールでは男女合わせてもオリンピック史上初となるベスト4へと進出。髙田は「本当に自信になります」とベルギー戦の勝利を総括する。「出ているメンバーもそうですし、今日プレータイムが少なかったり出ていない選手もいますが、自分たちのやってきたことをやり通せば勝てるんだということが、すごくみんなの自信になっています。まだ誰も経験したことのない場に立てるのは、バスケットもそうですけど一人の人間としてすごく意味のあることだと自分は思います」

「自分たちの目標は金メダルで変わりません」と髙田は語る。「次に勝つのがその条件なので、今日もそうですけど40分間動き続けるのが日本のバスケット。次も日本らしいバスケットをやり通して、チームメートを信じてやっていきたいと思います」