取材=朴康子 写真=小永吉陽子 構成=鈴木健一郎

前日にケガを負うも強行出場、11得点3アシスト

昨日行われた5人制男子バスケットボールの5-8位決定戦、日本代表は80-113で敗れた。

試合終了時点でコートに立っていたのは4人。買春の不祥事により4人が帰国させられた後、残った8選手で大会を戦い続けているが、この試合ではフィリピンの勢いを止められずにファウルがかさみ、試合終盤に3選手がファウルアウト(個人ファウル5つでの退場)。これで5人となったのだが、前日のイラン戦で足首を痛めながら強行出場していたベンドラメ礼生が最後はプレーせず、コート上に4選手の状態で試合終了のブザーを聞くことになった。

日本に残ったAチームを指揮するフリオ・ラマスに代わって采配を振るったヘッドコーチ代行のエルマン・マンドーレは説明する。「ベンドラメは足首のケガを抱えていて、それで最終クォーターに足も動かない状態なので休ませました。残り40秒で4人になってしまったが、最後の40秒で結果が変わるわけではないので、私の判断でケガをしている選手を入れるリスクは冒さず、最後は4人で締めました」

そのベンドラメは「右の足首です。良くはないですけど、バスケができなくはなかったので。試合になってしまえばそんなに気にならないです」と語る。20分間の出場で11得点3アシスト。スタメンこそ外れたが、このチームになくてはならないガードであることを示した。ただ、後半に失速した理由を「足が動いていなかった」とし、苦しい試合を振り返った。

4人の選手が途中帰国したことについて「すごく辛かった」とベンドラメは明かす。「仲間がああやって悪いことをして、8人残ってしまった。その8人で戦わなきゃいけなかったので、複雑な気持ちもありましたけど、よりチームが一つになれたんじゃないかと思います」

「この8人でしっかり戦って、勝って気持ち良く終わりたい」

今日と明日は休養日。マンドーレコーチはケガを抱えたベンドラメについて「彼が次の試合にもいると信じている。今日は大事に至らないために下げました」と語る。「ここにいる8人の選手は大きな心を持っている8人で、大事にしたい。彼がその気になれば間に合うと思っている」

「どの試合でもこの人数でも、日本を背負っている以上は勝ちに行く」と、強い意志で戦い続けることを誓うマンドーレコーチは、31日に行われる最終戦の7-8位決定戦について「7位と8位は我々にとって違う。命を懸けてでも挑戦しようと思う」とあらためて必勝を期す。

ベンドラメも言う。「あと1試合、この8人でしっかり戦って、勝って気持ち良く終わりたいと思います」

今日午後には日本バスケットボール協会が今回の不祥事についての会見を実施。4選手への処分が発表される見込みだ。世間の注目はこちらに集中するだろうが、それでも8人の日本代表はジャカルタで戦い続けている。勝って気持ち良く終われることを願うばかりだ。