「決め切る力はみんなが持っているので、打ち続けるのが大事」
バスケットボール女子日本代表はナイジェリアとのグループリーグ最終戦に102-83で勝利し、決勝トーナメント進出を果たした。
林咲希が11本中7本、宮澤夕貴が8本中5本の3ポイントシュートを成功させたように、日本は3ポイントシュート攻勢が見事にハマった。シューターの活躍が目を引くが、キャプテンの髙田真希は2人に次ぐ15得点を記録し、5リバウンド3アシスト2スティールと大黒柱らしいプレーで勝利に貢献した。
その髙田は「出だしで絶対に負けないという気持ちの部分と、シュートを思い切って打ち続けることがすごく大事だと思っていました。シューターは打ち続けることが役割でもあるので、そこを徹底してくれたのが良かった」と試合を総括し、シューター陣の活躍を称賛した。
日本は39本中19本の3ポイントシュートを成功(49%)させ、最後までその確率は落ちなかった。スモールバスケットで頂点を目指す日本にとって3ポイントシュートは生命線だ。その成否によって、周りの選手のパフォーマンスにも影響は及び、「シューターがすごく良いリズムで入れてくれました。そうなってくると中が自然と空いて、カッティングやドライブも生まれました」と髙田は言う。
日本はフィールドゴールを78本中39本成功させたが、2ポイントシュートと3ポイントシュートの試投数と成功率が全く同じという珍しい結果となった。リングに近く、成功率の高い2ポイントシュートのほうが多くなるのが一般的だが、髙田はこのバランスは決して悪くなく、むしろ日本にとっては良い傾向だととらえている。
「上手くいけばいいんですけど、上手くいかない時こそシューターがドライブしがちだったりするんです。空いたら打つのがルールになっているので、迷ってシューターがドライブするのはチームのリズムじゃなくなってしまう。決め切る力はみんなが持っているので、打ち続けるのが大事です。自分を含め、センター陣がオフェンスリバウンドに入ることも大事で、シューターに思い切って打ってもらえるようなシチュエーションを作っていきたいです」
「不安要素をかき消すくらい思い切ってやってくれている」
ここまで2試合連続で2桁アシストを挙げたポイントガードの町田瑠唯は、この試合でも安定したゲームメーク、アシスト能力の高さを発揮し、15アシストを記録。これはオリンピックにおける1試合最多アシスト記録に並ぶ数字だ。髙田は「持っているスキルや技術はもともと素晴らしいモノがある」とした上で、町田の良さをこのように話した。
「動いたところに必ずパスをくれるのでリングに向かって動きやすいというか、ディフェンスを見て合わせればパスが来るとみんなが思っています。特に今日の試合がそうなんですけど、相手がタフなディフェンスをしてくるので裏が空いたり、スクリーンをかけた際に空くシーンがありました。ここが空いているから見てと伝えると、そういったことにすぐに対応してくれます」
日本は予選リーグを2勝1敗で終え、グループBを2位で通過し決勝トーナメントへと進む。フランス戦では接戦をモノにする勝負強さを見せ、アメリカ戦では3ポイントシュートが決まらない中、ディフェンスで耐え忍び終盤まで食らいつく粘りを見せた。ナイジェリア戦で大活躍を見せた林は大会前にスランプに陥り、宮澤もケガの影響からコンディションが上がらずにいた。また、代表経験が乏しい選手も多く、髙田は「不安要素はたくさんあった」と明かした。それでも、試合を重ねていくうちに個もチームも調子を上げたことで、今の髙田は大きな手応えを得ている。
「オリンピック前にケガ人が多かったり、経験が少ない選手がいるので不安要素はたくさんありました。でも、それをかき消すくらい思い切ってやってくれているし、みんな成長しています。ゲームの中でこうしてほしいとか、ああしてほしいと言うことはありますけど、そんなに多くを言わずにみんながそれぞれの役割をコートで表現できているので、試合を通して成長を感じますし、頼もしいなって思います」