宮崎早織

「自分から当たりに行ってファウルをもらうことが今後の課題」

7月30日、バスケットボール女子日本代表は世界最強のアメリカと対戦した。東京オリンピックで金メダル獲得を目指す日本にとっては避けては通れない相手だったが、3ポイントシュートが思うように決まらず、69-86で敗れた。

オリンピックが延期になったこの1年間で一気に評価を高め、代表の座をつかんだ宮崎早織にとっては初めてのアメリカ戦となった。『世界女王』との初対戦ともなれば、緊張や相手の重圧に押しつぶされてしまうこともあるだろう。それでも宮崎は約12分間の出場で5得点3アシスト2スティールと普段と変わらぬプレーを見せた。

天真爛漫なチームのムードメーカーは試合後も「楽しかったというのが正直な思い」と語り、気負うことはなかったようだ。実際に、一気にトップギアへと入る加速力と独特のリズムを生かしたドライブはアメリカを相手にしても通用していた。しかし、抜いた後に後ろからブロックショットを食らう場面も見られ、あらためて世界基準の守備範囲の広さも目の当たりにした。宮崎は言う。

「スピードの部分では行けたんですけど、最後にブロックが飛んでくるのが日本と違うところでした。それをかわしてフィニッシュを上手くできるかがナイジェリア戦も鍵になってくると思います。抜いたところで気を抜くのではなく、最後のフィニッシュまで気を抜かずにもっていきたい」

また、フィジカルコンタクトの強さ、ファウルの基準についても対応が必要だという。「スピードをコンタクトで止めてくるので、上手く自分のスピードを出せないというのは、ヨーロッパのチームと違うところだったと思います。自分的にファウルだと思うシーンも、ファウルを取ってもらえなかったので。そこで耐えて、もう一回自分から当たりに行ってファウルをもらうことが今後の課題だなと思いました」

宮崎早織

全員バスケに欠かせないベンチ陣の活躍

宮崎がそう言うように、高さで劣る日本にとって相手をファウルトラブルに追い込み、フリースローで繋ぐことは大事な要素となる。特にスピードのミスマッチで相手をかき回す、ガード陣の強気なアタックが必要だ。

宮崎はポイントガードのバックアップとしての役割を担う。本橋菜子がフランス戦で不運にも足を痛め、アメリカ戦では1分8秒の出場に留まった。だからこそ、先発ガードの町田瑠唯の負担を減らすという意味でも宮崎のさらなる奮起に期待が懸かる。宮崎自身も「日本は全員で戦っているので、交代するメンバーがどれだけ自分の持ち味を出して、ディフェンスで相手を疲れさせるかというのがすごく鍵になってくると思います」と語り、ベンチメンバーの活躍の必要性を理解している。

日本は高速トランジションと3ポイントシュート、ハイプレッシャーディフェンスで世界と戦う。「後半はみんなの足が少し止まってしまいました。金メダルを取りに行くには、40分間それをやり続けないと勝てないと思いました」とアメリカ戦を振り返った宮崎。課題が明確でその対応策も分かっているのは心強い。ナイジェリアを撃破し、決勝トーナメントで女王を撃破した時、前回以上に「楽しかった」と思えるはずだ。