エバン・フォーニエ

アメリカは勝負どころでミスを連発、フランスはフォーニエが勝負強さを発揮

東京オリンピック、5人制の男子バスケットボールの大会初日は、アメリカがフランスに敗れる『波乱』が起きました。ただ、それは試合中にフランスが行った修正を打ち破ることのできなかったアメリカが、チームとしての弱さを露呈した結果でした。

エキシビジョンマッチでのアメリカはスター軍団にありがちなチームとしての機能不全に陥っていましたが、大きく改善されたことを示す立ち上がりでした。これまでデイミアン・リラード一人のゲームメークに頼っていたのが、試合開始からしっかりとスペースングしていく中で、バム・アデバヨ、ドレイモンド・グリーン、ザック・ラビーンとアタックしていき、それぞれがギャップを突くプレーを見せました。

特にアデバヨはフランスのルディ・ゴベアをスピードとパワーで圧倒し、ショートレンジのシュートで巧みに得点すると、自らのプレーでディフェンスを収縮させパスアウトからの3ポイントシュートもアシストし、インサイドの攻防で優位を作り出しました。

フランスとしては最大の強みである高さを封じ込まれる苦しい展開となりました。日本に敗れたテストマッチとは選手起用が異なり、プレーメーク能力が高いエバン・フォーニエとナンド・デ・コロをスターターに並べ、オフェンスではインサイドの高さではなく、ボールムーブとアウトサイドシュートで上手く組み立てました。しかし、2人のうち片方がベンチに下がるとオフェンスが苦しくなり、プレーを構築できないからインサイドを使おうとするもパスの精度が低く、ミスを重ねてしまいました。フランスの得点が伸びず、前半はアメリカが45-37とリードしました。

それでもフランスは後半からビンセント・ポワティエを投入し、第3クォーターのうちに逆転に成功します。ゴベアとポワティエのビッグマン2人が並んだことで、どちらかがアウトサイドに引き出されても、もう1人がインサイドカバーに入ってアメリカのドライブを潰し、さらにオフェンスでも高さとフィジカルを生かしたリバウンドで強引にねじ込んでいきました。

これに加えてポワティエはパスの中継点としてインサイドアウトをすれば、ハイポストからゴール下のゴベアへ素晴らしいパスを通し、フランスのオフェンスの潤滑油になりました。わずか11分足らずのプレータイムながら得失点差は+12と圧倒的な存在感で、フランスに試合の流れを呼び込みます。

フランス代表

アデバヨに頼りっぱなし、インサイドの弱点を露呈

アメリカの大きな誤算はケビン・デュラントのファウルトラブルでした。サイズのないアメリカはデュラントがインサイドでディフェンスすることも多く、ファウルコールにも苦しみ、後半開始4分で個人4つ目のファウルとなり、ベンチへ下がることになってしまいました。これもフランスの反撃を食らった大きな要因でした。

一方でうれしい誤算だったのが、前日の深夜に合流したばかりのNBAファイナル組がキレのある動きを見せたことで、特にドリュー・ホリデーは18得点7リバウンドでアメリカの窮地を救う活躍を見せると、第4クォーター残り3分半の時点で7点リードを作り出します。

リードして終盤を迎えれば、あとはリラードとデュラントが時間をコントロールしながら、勝負強いシュートでクロージングするだけ。しかし、ここから試合終了までデュラントはシュートを落とし、リラードはターンオーバーにアンスポーツマンライクファウルまで取られてしまいます。

勝負強さを発揮したのはフランスのフォーニエで、アメリカのハードなディフェンスによりショットクロックギリギリで打ったタフショットを決めて点差を詰めると、残り1分にチームメートが粘り強くキープしたルーズボールからパスを受けると、3ポイントシュートで逆転します。最後もリラードのミスからボールを奪ったフォーニエがフリースローをキッチリと決め、フランスが逆転で1勝目を手にしました。

アデバヨはゲームハイの10リバウンドを奪ったものの、続いたのがガードのホリデーになっており、アデバヨにインサイドを任せきりになりました。そもそも高さとフィジカルで対抗するセンターを加えないロスターを組んでおり、フランスが2ビッグにして弱みを突いてくると、抗うことができませんでした。スピードを生かしてトランジションを増やす展開もあったはずですが、ディフェンスで追い込んでも勝負強いフォーニエに決められたことが響きました。

それ以上に、苦しみながらも勝つ展開に持ち込みながら、試合終盤のオフェンスであまりにもシュートミスが多く、スター軍団らしさを発揮できませんでした。オフェンスそのものは大きく改善しながら、肝心の個人技で負けてしまう非常に苦しい開幕戦となりました。