男子日本代表

取材・写真=小永吉陽子 構成=鈴木健一郎

代行指揮官マンドーレの『日本を背負う覚悟』

ジャカルタ(インドネシア)で開催中のアジア競技大会、5人制の男子日本代表は準々決勝でイランを相手に敗れた。今大会は主力メンバーが9月のワールドカップ予選に向けた調整に専念するために若手中心のBチームでの参加。しかも大会中の買春という不祥事で4選手が途中帰国し、メンバーの補充もなく8人で戦わざるを得ない状況で、ベストメンバーで臨むアジアの強国イランを上回るのは難しかったと言わざるを得ない。

日本代表ヘッドコーチのフリオ・ラマスも『ワールドカップ組』の指導のためチームには帯同していない。アジア競技大会でチームを率いるのは、ラマスのアシスタントを務めるエルマン・マンドーレ。彼が試合後に取材に応じた。

当然ながら、不祥事を起こした4選手を欠くマイナスは大きい。「今も問題として抱えているのは5対5ができない状況です」と、マンドーレコーチは試合間隔が空くこの大会での準備が難しくなっていることを打ち明けるが、「ただ、それを理屈に使うつもりはないので、どの試合でもこの人数でも、日本を背負っている以上は勝ちに行く」と言い切る。

「イランはとても強いチーム、間違いなくメダルを取れるチームだと思います。そういう対戦相手でもしっかりゲームができるよう臨み、ある程度は良い試合運びができたんじゃないかと。それでもやはり第3クォーターの終わり、第4クォーターの始まりで選手たちも8人でローテーションしているから疲れが出始めて、残念ながら良い締め方ができなかった。それでも35分間しっかりとプレーしてくれたこの8人の日本代表、最後の5分間は残念ながら良い試合ができませんでしたが、それでも誇れる内容だったと思います」
男子日本代表

「もう一回100%を出してもらうしかない」

準々決勝に敗れてメダル獲得の可能性は潰えたが、日本にはまだ順位決定戦の2試合が残されている。今日は5-8位決定戦が行われ、31日には最終戦として5位もしくは7位決定戦を戦うことになる。イラン相手に8人で激闘を繰り広げ、その翌日にまた試合があるのだから、選手たちの疲労はピークに達しているに違いない。それでも「日本を背負っている以上は勝ちに行く」の姿勢はブレない。

「明日の試合ももちろん疲れを理屈に使おうと思ってないので、今日はリカバリーのほうに専念してもらって明日のフィリピンには勝てるように、コートに立ってもらって、できるだけ高い順位にしたい。もう一回100%を出してもらうしかない」とマンドーレコーチは言う。

ただ、気になるのは気合いだけではどうにもならないコンディションだ。昨日のイラン戦で第4クォーター早々にベンチに下がったベンドラメ礼生は、その後コートに戻ることができなかった。試合終了直後でケガの状態は分からなかったが、マンドーレコーチは選手の状態を懸念しながらも、勝つことだけを考えてこう語る。「少ない選手の中でローテーションすることはそういった危険も伴う。なんとか挑戦して戦えるようにしていかないと」

買春行為という前代未聞の不祥事で記憶されるであろう今回のアジア競技大会だが、参加している選手、スタッフは少しでも多くの収穫を持ち帰ろうと奮闘している。勝敗にかかわらずあと2試合、苦しい状況での彼らの戦いは続く。