富永啓生

両チームともスタミナ切れの消耗戦、富永が勝負強さを発揮

東京オリンピックの3人制バスケットボール『3×3』、初日の最終戦で日本代表がベルギーと対戦した。

保岡龍斗がアイラ・ブラウンのピックを囮に使って2ポイントシュートを決める幸先の良い得点を奪うも、日本はここから崩れてしまう。相手のフィジカルに圧倒されて、ディフェンスではオフボールでゴール下に飛び込む動きを止められず、オフェンスでは連続でイージーなターンオーバーが続き、開始2分で2-7とビハインドを背負った。それぞれがハッスルすることで相手の勢いは止めたものの、その気合いがチームとして噛み合わずに点差を縮められず、ハッスルが結果に繋がらないことで焦りが増し、疲弊も進んだ。

6点差から動かないままで残り3分に。それでも攻め気を失わない保岡が強引なドライブでファウルを引き出し、ベルギーのチームファウルは6つに。初戦と同様に相手をファウルトラブルに追いやり、激しく戦うことでガス欠を起こさせたのだが、序盤のハッスルで日本も足が残っておらず、追い付くところまでは行っても逆転できない。

残り23秒で富永啓生がドライブからレイアップに持ち込み、ついに同点に。さらに逆転するチャンスもあったのだが、富永のアウトサイドシュートは決まらず、オフェンスリバウンドをアイラ・ブラウンが押し込もうと狙うも失敗。さらに富永がタップで狙うもリングに嫌われ、2試合連続での延長戦となった。

16-16で迎えた延長は2点先取。ベルギーはガス欠で走れない、跳べない状態だったが、日本も疲れからシュートの精度が落ちており、なかなか得点を奪えない。富永がレイアップに持ち込み早々に1点を奪ったものの、もう1点が遠かった。それでも、同じような展開で決勝2ポイントシュートを決められて敗れた初戦の反省から、アウトサイドのシュートだけは徹底的に抑えた。ドライブはケアしなかったのだが、疲れ果てているベルギーはここを突いても簡単なゴール下を決められない。ただ、日本も限界に近づいており、シュートを打てども打てども決まらなかった。

そんな展開で価値ある決勝シュートを決めたのは富永だった。試合序盤、ベルギーに体力が残っていた時間帯はフィジカルで潰されていたが、相手の足が動かなくなると巧みなステップワークで相手を抜き去りレイアップを次々と決めていた。一方で本来の武器である2ポイントシュートは6本打って決まらず。最後のシーンも外は狙わず、大きなストライドで1対1を仕掛ける。相手も富永のドライブを警戒してコースを消しに来たのだが、足が残っておらずに転倒。抜け出した富永は大混戦に決着をつけるフィンガーロールレイアップをねじ込み、大きく吠えた。

18-16で日本が勝利。序盤を引っ張った保岡が7得点、終盤で勝負強さを見せた富永が6得点を記録している。初日を終えて1勝1敗。全8チームが2試合を消化し、2勝を挙げたのはセルビアのみ。総当たり1回戦で上位6チームが決勝トーナメント進出のため、日本にはまだまだ上位進出のチャンスがある。