ルカ・ドンチッチ

FIBAランキングは16位ながら、ドンチッチが加わりパワーランキングは5位に

スロベニアのNBAプレイヤーは2人で、人数だけならば日本と同じですが、その一人であるルカ・ドンチッチは世界最高のヤングスターとして圧倒的な存在感を発揮します。FIBAランキングは16位ながら、参加国のパワーランキングでは5位になっていることも、ドンチッチが一人ですべてを変えている印象をさらに強めています。

世界最終予選ではリトアニア相手に23得点13アシストと、ほぼ1人で試合を決めてしまった印象すらあります。レベルの高いチームメートを霞ませ、ワンマンチームに映るほど、ドンチッチはアンタッチャブルなプレーを連発しました。特にドライブに入ると常にパスを出す態勢を崩さないため、守る側としてはヘルプのタイミングが難しく、複数のディフェンスに囲まれても身体を上手く当ててファウルをもらいながら、平然とタフショットを決めてきます。

NBAのエースキラーたちをも翻弄してきただけに、まるで子供の試合に大人が混じっているかのような余裕のあるプレーぶりで、個人で止めきるのは難しく、かといってチームで囲んでも背中にまで目がついているかのような視野の広さでワイドオープンのチームメートを見つけてきます。

ドンチッチの弱点を挙げれば、フリースローの確率の悪さと切れやすい性格です。どれだけ決められてもハードに守り続けて、ドンチッチのメンタルを削っていくのも一つの戦略かもしれません。またドンチッチのディフェンスに対しても積極的にアタックすることで苦しめる必要があります。各国にとってスロベニアとの試合は『いかにしてドンチッチを困らせるか』の戦いです。

チームとしてのスロベニアを見ると攻守に3ポイントシュートが重要です。ドンチッチにマークが集中すればフリーのアウトサイドシュートを打てるので、これを確率良く決めることでオフェンスに勢いが出ます。ディフェンス面では人数をかけてインサイドを固める傾向にあり、やはりアウトサイドが空きます。スロベニアとしてはこの守り方に慣れているため、少し遅れてもしっかりとシュートチェックに飛んではきますが、ディフェンス組織は崩れており、特にコーナーから確実に決められるかどうかが攻略のポイントになりそうです。

アルゼンチン、日本、スペインの順で対戦が組まれていますが、決勝トーナメントは2勝すれば確実、1勝でも進める可能性があるため、スロベニアにとって2試合目の日本に勝つことが最も重要になってきます。それは日本にとっても同じだけに、激しい戦いが予想されます。止めることが難しいドンチッチにどのような対応をするのか、完璧に止めるのは不可能な選手だけに、試合を通した戦略が問われる一戦になりそうです。