田中大貴とのアリウープが日本代表に勢いをもたらす
バスケットボール日本代表は昨日行われたベルギーとの国際強化試合に87-59の快勝を収めた。
八村塁はウィザーズの主力として活躍している貫禄を見せつけ、ゲームハイの24得点を記録。渡邊雄太も八村に次ぐ15得点を挙げ『NBA組』の実力を示した。フリオ・ラマスヘッドコーチは「素晴らしい内容だった」と試合を振り返るとともに、「塁と雄太以外にもギャビン(エドワーズ)やマコ(比江島慎)、(田中)大貴に(張本)天傑もすごく良いゲームをしていた」と、国内組のプレーも高く評価した。
第1クォーターに19点の大量リードを奪ったことが快勝に繋がったが、日本の先制点は田中とエドワーズによるアリウープで、このプレーがチームに勢いをもたらした。エドワーズは「大貴は所属チームでアリウープパスをたくさん投げている。自分は対戦相手として食らう立場だったけど、そういった連携をこれからもやりたい。ピックを使った時にディフェンスが大貴のことをたくさん見るから、良い起点になっていると思う」と、田中との連携について語った。
日本は常に2桁以上の点差を保ったため、主力にプレータイムが偏ることなくタイムシェアをした上で勝利した。その中で、インサイドの核としてチーム最長となる26分間コートに立ち続けたエドワーズは前回3点差で敗れた試合との違いをこのように語った。
「前回のベルギー戦よりも改善された点がいくつかあった。フィジカル面やリバウンドの面でも今日の方が戦えていたし、良い方向に進んでいると感じた」
日本は前回のベルギー戦で1-16とオフェンスリバウンド数で圧倒されたが、エドワーズが言うように、この試合のオフェンスリバウンド数は6-9と大きく改善し、総リバウンド数では33-27で上回った。
エドワーズは攻守に奮闘し、10得点6リバウンド6アシストとマルチな活躍を見せた。特にアシストはチームハイの数字だが、エドワーズはこれを『八村効果』の一つだと言う。「チームとしてスペーシングをすごく大事にしていて、僕もコーチから積極的にアタックするようにと言われています。僕がシュートを狙って、ディフェンスが寄ってきたらチームメートにパスをするシステムで、塁がいることでよりスペースが広くなったと感じました」
また、エドワーズは「彼はとてもスキルがある選手なので、そういう選手がチームにいるだけでみんなの自信になる」とコート上に八村がいることで生まれる安心感を語った。
守備で確かな手応え「今日のディフェンスは上手くいった」
このように、エドワーズは海外組が合流した日本の強さを実感したが、 「これから当たるチームはさらにレベルが高い相手」と、もちろん慢心などしていない。
実際に、オリンピックではスペイン(世界ランキング2位)、アルゼンチン(同4位)、スロベニア(同16位)とすべて格上のチームと戦うことになり、サイズやフィジカルのレベルもオリンピック出場権を持たないベルギーとは段違いだ。明日にはオリンピック前、最後の国際強化試合となるフランス(同7位)戦が控えている。フランスは日本を上回る5人のNBA選手が所属する強豪だ。フルメンバーが揃った日本の実力を見極めるのは最善の相手であり、ラマスヘッドコーチも「今いる選手のローテーションを考え、我々のスタイルを確認すること」が最優先事項と語る。
日本はこれまでゾーンディフェンスを併用するチェンジングディフェンスで戦ってきたが、今回の試合ではマンツーマンで対応した。それはゾーンディフェンスを使わずに守り切れたということを意味するが、エドワーズもディフェンスでの手応えを口にした。
「今日のディフェンスは上手くいきました。ラマスコーチはゾーンは練習時間が足りていないと感じていると思うし、マンツーマンの方がしっくりくる印象を受けた。でも、これから先はゾーンが必要になることがあると思うので、引き続き練習が必要になってくる。でも今日はアグレッシブにディフェンスして、ディフレクションもたくさんして、それがファストブレイクに繋がったりしてとても良かった」
八村と渡邊、そして馬場雄大を含めた『海外組』が日本代表の力を大きくレベルアップさせたことは間違いない。ただ、インサイドを主戦場とする帰化選手のエドワーズが、あらためて日本には必要だということも認識させられた一戦となった。