赤穂ひまわり

「久しぶりに日本のバスケットボールができました」と納得の出来

7月15日、バスケットボール女子日本代表はベルギーとの国際強化試合に84-76で勝利した。ベルギーは東京オリンピックでメダルの有力候補となる実力を有し、さらに難敵揃いだった6月の欧州選手権で3位とチーム作りも順調に進んでいる。一方の日本は、格下のポルトガルと6月に3試合を行った以外、コロナ禍の影響からこれといった対外試合はできでいなかった。

それだけに指揮官トム・ホーバスは「この試合、ちょっと心配でした」と試合後の会見で語っている。「ベルギーは欧州選手権で6試合、ナイジェリアとも試合をやってコンディションはシーズン中みたいな感じでした。ウチは今まで試合をやっていなかったので強いところ、弱いところが分からなかったです」

ただ、日本はこうした不安を払拭するパフォーマンスを披露し、ホーバスも「思ったより最初から最後まで良いバスケットボールができました」と評価した。

この試合、赤穂ひまわりは8得点5リバウンド3アシストに3スティールを記録。攻守に渡る活躍で勝利に大きく貢献した。「第1クォーターから久しぶりに日本のバスケットボールができました。チームとしてディフェンスから速いペースに持っていくための、ディフェンスは良かったと思います。個人としては、決め切らないといけないシュートを落としてしまったので、そこはしっかり決めたかったです」

このように試合を総括した赤穂は、チームとして12スティールを奪い、ベルギーから計24ターンオーバーを誘発したフルコートプレスについて言及した。「誰がボールを持ったらダブルチームにいくのか、判断良くできるようにと考えています。そして行くと決めたら手を出さずに足で詰めて、プレッシャーをかけることを意識しています」

赤穂ひまわり

3番起用も意に介さず「自分の役割に変化はないです」

代表において赤穂は長らく2番ポジションを担ってきたが、渡嘉敷来夢の離脱などもあって全体的にサイズが小さくなったチーム事情から、今は3番ポジションでプレーしている。ただ、この変更に戸惑いはない。「2番、3番で自分の役割に変化はないです。マッチアップの相手が少し大きくなったりすると思いますが、そこはアジャストしていけたらいいと思います」

赤穂がこの変更にも難なく対応できるのは、サイズとハンドリングなどを兼備する多才さを持っているからだ。かつてホーバスヘッドコーチが「ひまわりは、私にとってスイスアーミーナイフです(日本でいう十徳ナイフ)」と評したことからも分かる。スモールボールを強調し速さで世界の頂点に挑む日本代表だが、185cmの大型シューティングガードである赤穂だけは、世界を相手にしてもサイズの不利はない。

この武器が、日本の弱点をカバーするための鍵となることは本人も自覚している。「代表のディフェンススタイルで、2番、3番で誰についてもミスマッチが起きない点は評価されていると思います。誰のマークにもつけるのが役割で、リバウンドも毎回しっかり絡んで日本の弱い部分を補えるようにしたいです」

ベルギー戦、前から激しいプレッシャーをかけ続ける体力の消耗が激しいバスケットボールを展開したこともあり、日本はプレータイムをシェアしていた。その中でも赤穂は29分25秒とチーム1の出場時間となった。それこそ、彼女がいかにチームの要となっているかを示している。日本代表の飛躍には、世界レベルのオールラウンダーとして活躍する赤穂の存在が欠かせない。