ジャマール・モーズリー

再建へと鉈を切ったマジックに最適な人材

マジックは今シーズンを21勝51敗で終え、プレーオフはおろかプレーイン・トーナメント進出さえも逃した。勝率が3割を切ったのは過去7シーズンで初めてで、指揮官のスティーブ・クロフォードを解任した。そして現地時間7月12日、マジックはジャマール・モーズリーのヘッドコーチ就任を発表した。

現在42歳のモーズリーは現役時代にオーストラリアやスペインなどでプレーし、2005年に現役を引退。その後、ナゲッツの育成コーチを経て、2007年からはアシスタントコーチに就いた。2010年から2014年までキャバリアーズのアシスタントコーチを務め、その後は7シーズンに渡ってマーベリックスのアシスタントコーチを務めてきた。

マジックのバスケットボールオペレーション部門の社長を務めるジェフ・ウェルトマンは以前、ナゲッツのアシスタントGMを務めていた。そして、当時モーズリーが選手に与えていた影響を忘れておらず、その時から注目していたと明かした。「モーズリーはユニークな能力を持っている」とウェルトマンは言う。

「彼の情熱、経験、人との繋がりを大切にする能力。彼は誰に対しても素晴らしい対人スキルを持っていて、それは彼の人としての思いやりに由来している。指導方針はプレーヤーの育成に根ざしていて、私たちのチームを率いることを楽しみにしている」

マジックはトレードデッドラインにニコラ・ブーチェビッチとアーロン・ゴードン、エバン・フォーニエ、アル・ファルーク・アミヌら主力を一挙に放出し、再建へと舵を切った。トレードの見返りとして、若手選手やドラフト指名権を多く獲得し、今年のドラフトではトップ8のうち2つの指名権を保有している。そのため、才能ある若手にプロ意識を植え付け、正しい方向へと導くことがモーズリーには求められる。

マジックの再建を託されたモーズリーは「我々はより良くなるように努力するしかない」と語り、努力し続けるメンタルの大切さを説いた。「毎日努力し、より良くなっていきたいと思うレベルまで成長し続けなければいけない。これこそが、この旅の重要なポイントになると思う」

今回の就任にあたり、マブスのルカ・ドンチッチが「おめでとうマイ・ガイ」と祝福のツイートを投稿すれば、キャブズ時代にNBAチャンピオンに輝き現在はアナリストを務めるリチャード・ジェファーソンが「自分の17年のキャリアで最高のアシスタントコーチの一人」とつぶやくなど、ポジティブなメッセージが相次いでいる。

若手の育成に定評があり、選手からの信頼も厚いモーズリー。マジックは最も適した人物の招聘に成功したと言える。